こんな営業電話にうんざりしていませんか?
しかも、断っても断っても、次から次へと違う業者からかかってくる電話。大量に送られてくるメール。ダイレクトメール。
この記事では、M&A仲介会社からのしつこい営業電話にお困りの経営者のために、二度とかけさせない断り方を徹底解説します。
法的根拠に基づくスクリプト、受付向けマニュアル、悪質業者の通報先まで完全網羅。あなたの貴重な時間を守るための実践的な対処法をお伝えします。
目次
なぜM&A営業電話はこんなにしつこいのか? 業界の裏事情
M&A仲介会社からの営業電話が増えている背景には、業界特有の構造的な問題があります。
今日本では、後継者不在問題が深刻化しています。2017年の経済産業省の分析では、2017年時点で中小企業の約127万社が後継者未定、かつ、2025年には6割の経営者が70歳を超えると言われています。結果として、さまざまな政府の施策と共にM&A市場は急速に拡大しました。
2025年に発表された中小企業庁の中小企業白書では、中規模企業で14.1%、小規模事業者で15.7%が事業継承をもっとも重視する経営課題に挙げており、市場はますます過熱しています。
この市場拡大に伴い、M&A仲介業者も急増しました。M&A支援機関登録制度には現在3,000社以上が登録しているのです。
しかし問題は、M&A仲介業には許認可が不要であり、誰でも「M&Aアドバイザー」を名乗れることです。許認可も国家資格も必要ないため、参入障壁が低く、業者のレベルは玉石混交の状態が続いています。
さらに、営業マンの報酬体系も影響しています。多くのM&A仲介会社では、基本給は控えめで、成功報酬の10%〜30%程度が多いようです。しかし、最近は独立したてのM&A仲介会社ですと50%をインセンティブとして、出すところもあると聞いております。
つまり、売り手を探して、仲介契約を獲得し、買い手も見つけて、成約させなければ収入が上がらない構造なのです。だから「断られてからが勝負」という発想になり、一件でもアポイントメントを取ろうと必死になるわけです。
しつこい電話がかかってくるのは「あなたの会社が魅力的だから」ではなく、市場拡大によって増えたM&A仲介会社と、その営業マンの報酬体系のせいなのです。
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「御社を買いたい企業がある」は本当? 営業トークの真実
「御社に興味を持っている企業があります」「資本提携を希望する企業があります」——こうした言葉に、つい耳を傾けてしまうかもしれません。
しかし残念ながら、これらのほとんどが営業トークです。
実態には「この業種・この売上規模の会社が欲しい」という曖昧なニーズがあるだけで、具体的に御社を名指しで買いたいという企業が、存在するのは非常に稀です。
仮に「どの企業ですか?」と聞いても、「買い手から、秘密保持契約後でなければ開示するなと言われておりまして、、、」と返されるのがお決まりのパターンです。
名簿はどこから入手している?
電話営業のリストは、主に以下のような公開情報から作成されています。
1.帝国データバンク、東京商工リサーチなどの企業データベース
2.法務局の登記情報
3.求人サイト(採用活動をしている=事業継続の意思ありとみなされる)
4.業界団体の会員名簿
特に代表取締役・社長の年齢が高い会社は狙われやすい傾向があります。後継者問題を抱えている可能性が高いとみなされるためです。
つまり、特別な情報漏洩があったわけではありませんので、何も対策する必要はありません。
二度と営業電話をかけさせない! 法的根拠に基づく3つの断り方
ここからは、しつこい営業電話をきっぱりと断わり、二度とかけさせない断り方を解説していきます。
効果的な断り方を3つのパターンに分けて解説します。
【対策①】受付・総務向け「鉄壁ブロック」マニュアル
電話を最初に受ける受付や総務担当者が、適切に対応できるかどうかが最初の防衛線です。
「会社の方針として、M&A・事業承継・資本提携に関する新規のお電話は一切お取り次ぎしておりません。恐れ入りますが、リストからの削除をお願いいたします」
ポイント:
「個人の判断」ではなく「会社のルール」として断る
→総務担当者の心理的負担を軽減できます(かつ、会社のルールとして先方も諦めやすくなります)
「社長は不在です」はNG
→「では、いつならいらっしゃいますか?」と粘られる口実を与えます
「お取り次ぎしない規定」と言い切る
→再架電の理由を与えません
社内ルール化のすすめ:
「M&A関連の電話は取り次がない」を社内で明文化し、受付マニュアルに追記して全員で共有することをおすすめします。これだけで、営業電話の大半をブロックできます。
【対策②】社長が出てしまった時の「即終了」フレーズ
万が一、社長自身が電話に出てしまった場合も、短く切り上げることが重要です。
「現在、後継候補がおりますので、あしからず、ご了承ください」
ポイント:
「結構です」「興味ありません」はNG
→「今は」という意味に解釈され、再架電の口実になります
「後継候補がいる」は最強の断り文句
→嘘でも構いません。相手は確認のしようがありません
理由を説明しない
→長く話すほど、相手に情報を与えてしまいます
【対策③】法律を盾にする「特商法キラーワード」
それでもしつこい場合は、法律の名前を出すことで、相手のコンプライアンス意識に訴えます。
「一度お断りした案件について再度ご連絡いただくのは、特定商取引法で禁止されている再勧誘に該当する可能性があります。当社の情報をリストから削除し、今後一切のご連絡はお控えください」
法的根拠:
特定商取引法 第17条(再勧誘の禁止) では、電話勧誘販売において「契約を締結しない意思を表示した者に対する勧誘の継続や再勧誘」を禁止しています。
参考:電話勧誘販売|特定商取引法ガイド(消費者庁)
https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/telemarketing/
厳密にはB2B取引には直接適用されませんが、「法律」という言葉自体がコンプライアンス部門へのアラートになります。まともな会社であれば、法律名を出された時点で対応を改めます。
また、2024年8月に改訂された中小M&Aガイドライン(第3版) では、M&A支援機関に対して「広告・営業を希望しない旨の意思表示を受けた場合の広告・営業の停止」が明記されました。
参考:「中小M&Aガイドライン第3版」|中小企業庁
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/download/m_and_a_guideline.pdf
追加の一手として、「このお電話は録音させていただいております」と伝えるのは、非常に効果的です。もちろん実際に録音しておくことで、後述する通報時の証拠にもなります。
それでも止まらない時の通報先リスト
上記の対策を講じても営業電話が止まらない場合、または明らかに悪質な営業を受けた場合は、以下の窓口に通報・相談が可能です。
通報するために記録しておくべき情報
通報するには、通報対象に関するある程度具体的な情報が必要です。以下の情報を記録しておくことで、しっかりと該当企業を通用できるので参考にしてください。
1.企業名・担当者名
2.電話がかかってきた日時
3.会話の内容(可能であれば録音)
4.断った履歴(何月何日に断ったか)
「通報される」という事実自体が抑止力になります。実際に、情報提供受付窓口への通報後に営業手法が改善されたケースも報告されています。
しつこい営業をする会社に依頼してはいけない理由!
ここまで読んで「でも、いつかはM&Aを検討するかもしれない」と思った方もいるかもしれません。
しかし、しつこい電話営業をしてくる会社には、絶対に依頼してはいけません。
優良なM&A仲介会社が電話営業に頼らない理由
M&Aで確かな実績のあるアドバイザーは、紹介や指名で案件が回ってきます。逆に無差別にテレアポをする営業マンは、案件が不足しているか、ノルマに追われているかのどちらかということです。
事業承継は一生に一度の重大な意思決定です。ノルマに追われた営業マンに任せるのは、リスクでしかありません。
信頼できるM&A仲介会社を見極める4つのポイント
中小企業庁のデータベースには、3,000を超える業者が登録しています。そのため、そこから自分の事業に最適な知識と経験を持った、信頼できるM&A仲介会社を探すのは大変です。
そこで、仲介会社を見極める4つのポイントを紹介します。
中小M&Aを成功に導くには、地域や事業に対する深い知識と、地域ネットワークが欠かせません。
特に地域に根ざして活動していることが多い中小企業の場合、遠隔地の大手仲介会社よりも、地元での活動実績が豊富でネットワークをしっかり構築している仲介会社の方が、しっかりと事業承継へ結びつけてくれます。
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関連記事:大手仲介会社にM&Aを依頼して失敗する理由
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まとめ
M&A仲介会社からの営業電話は、「断って終わり」ではなく「二度とかけさせない」が正解です。
本記事で紹介した対処法をまとめると、以下の3つの武器を活用することが重要です。
社内ルールの明文化
→受付レベルでブロックする体制を整える
法的根拠を盾にした断り方
→特商法・中小M&Aガイドラインを根拠に毅然と断る
通報窓口の活用
→悪質な業者は記録して通報する
そして、本当にM&Aを検討する時が来たら、電話営業に頼らない会社を選んでください。
事業承継のご相談は、電話営業ではなく、経営者ご自身のタイミングで。
絆コーポレーションでは、新潟県を中心に中小企業・小規模事業者のM&A・事業承継を支援しています。しつこい売り手探しの営業は一切いたしません。秘密厳守の無料相談を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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小川 潤也
株式会社絆コーポレーション
代表取締役







