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ローカルM&Aマガジン

M&Aのマッチングサイトは使えるのか?メリットとデメリット、注意点を解説!

[著]:小川 潤也

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近年、中小企業でもM&Aという選択肢が一般的になったことに伴い、M&A仲介会社などのM&A業者が激増しました。

そんなトレンドに乗って現れたのが、「M&Aのマッチングサイト」をうたうサービス。

あらゆる領域でマッチングプラットフォームが勃興している流れが、M&Aの世界にも押し寄せているといえます。

今回の記事では、「M&Aのマッチングサイトで実際に成約できるの?」と疑問をもつ経営者のみなさんのために、マッチングサイトの仕組みや活用のメリットや注意点について解説します。

M&Aのマッチングサイトとは?

M&Aのマッチングサイトとは、買い手と売り手の双方がオンライン上でM&Aの候補企業と出会い、マッチングしたら直接やり取りを始めるというサービスです。

いろんなマッチングアプリがありますが、そのM&A版と理解してもらえばわかりやすいでしょう。

売り手が自社の情報を案件として登録すると、買い手の登録した情報が売り手側に開示され、この買い手には開示してもよいと許可すると秘密保持契約を電子締結の後、買い手にが売り手の情報を閲覧できる状態になります。

実際に登録してみると、企業にもよりますが、買い手候補よりも小さなM&A仲介会社から連絡が殺到する状態になるようです。

どんな仕組みでマッチングするのか?

通常のM&Aでは、最初からアドバイザリー会社を入れてしっかりサポートしてもらうケースも多いのですが、M&Aマッチングサイトを使う場合、基本的にはアドバイザーは入れなくとも話を進めることができます。

サイト内でアドバイザリーも選任できるようにもなっています。選任すると交渉の代理人役になってくれたり、売り手が提出する資料の質を高めるアドバイスをくれたりと様々なサポートが得られますが、アドバイザリーなしの状態では、煩雑な資料の用意、交渉、を含めたすべてを経営者自らが行ない、ディールを進めることになります。

もちろん、アドバイザーを選任すると手数料が発生するので、まずは独力でやってみようと始める方が多いようです。

マッチングサイトには、マッチング自体は手軽にできるというメリットがある一方、面倒な部分も自分自身で行なうデメリットがあることは、事前に理解したうえで活用することをおすすめします。

マッチングサイトを活用する注意点

ほかにも、M&Aマッチングサイトの活用にあたっては、注意すべき点がいくつかあります。

①情報漏洩のリスクがある?

マッチングサイトに登録すると、匿名ではあるものの自社の情報を買い手候補の誰でも見られる状態になってしまう点は、しっかり認識しておきましょう。

もちろんマッチングサイト経由でも秘密保持契約は結ばれますが、本人確認がこちらでは十分できないため、WEB特有の「手軽さ」が思わぬリスクにつながる可能性は、十分に理解しておきましょう。

弊社がアドバイザーとして選任され、案件の概要を買い手候補に説明する際の驚いたケースを紹介します。
買い手候補のネームクリアの上、WEB面談で概要を説明しようとしたところ、買い手の社長以外にも二人が面談に同席しておりました。「社員の方ですか?」と聞いたら、なんと「知り合いの社長です。一緒に検討してもらおうと思って」と驚きの回答にフリーズしてしまいました。もちろん、その時は案件の概要説明は中止したのは言うまでもありません。

また、地元の同業他社などがもしサイトを見ていた場合、概要からあなたの会社の案件であることを推測されてしまうかもしれません。

そうなれば、「似てる会社が売りに出てる」と噂になる恐れがあります。

軽い気持ちで登録すると危険

マッチングサイトでは売り手企業は「うちの会社を買いたいという会社はいるのかな?」とか「いくらの値段がつくのかな?」などの軽い気持ちで登録する経営者もいるようです。だから、買い手として「良さそうな会社あるから、問い合わせてみよう」と思っても、返事が来なかったり、交渉が途中で中断したり、いうこともあるようです。

情報を簡単に探せるのがインターネット、マッチングサイトの強みなので、探し続けるのがいい案件に巡り会える肝なのかもしれません。

しかし、ただしここまで述べたように、売り手側は軽い気持ちで登録してしまうと、情報漏洩などの思わぬ危険に晒されます。

「自社に買い手候補が現れるのかを知りたい」というくらいの軽い気持ちで、登録するのは避けたほうがよいかもしれません。

きちんとパートナーをつけたほうが、結果的に安全

M&Aのマッチングサイトを使って買い手を探そうという売り手企業は、「面倒なことをやってもいいからとにかくコストを下げたい」という考え方をお持ちかもしれません。

しかし、実際にM&Aの交渉を独力で、専門家の手を借りずに進めるのは相当に難易度が高く、上記で述べたようなオンライン独特のデメリットやリスクも伴います。

もし途中でやっぱりアドバイザーをつけようと翻意すると、結局コストがかかってしまうので、スムーズにディールを進めるためには最初からアドバイザーをつけておいたほうが賢明かもしれません。

まとめ

当社の感覚としては、M&Aのマッチングサイトをうたっていても、実際はその会社がアドバイザリーにつく体制を推奨しているところも多く、サイトによって独力でM&Aを完結させるのはかなり難しい印象です。

サイトを使う・使わないのどちらにしても、M&Aにおいては信頼できるパートナー選びが重要になるのです。

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著者

小川 潤也

株式会社絆コーポレーション
代表取締役

1975年新潟県新潟市(旧巻町)生まれ。株式会社絆コーポレーション代表取締役社長。大学卒業後、株式会社富士銀行(現・みずほ銀行)入行。法人担当として融資、事業再生、M&Aなどの総合金融サービスを手がける。2004年、医療介護の人材サービスを手がける株式会社ケアスタッフの代表取締役に就任。また銀行勤務時代に培った新規取引先の開拓やM&Aでの経験を生かし、地方都市の後継者不在、事業承継ニーズに応えるべく、株式会社絆コーポレーションを設立。M&Aアドバイザリー事業、スペシャリストの人材紹介事業を展開。著書に『継がない子、残したい親のM&A戦略』(幻冬舎)がある。
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