実は近年、50代でM&Aを決断する経営者が増えています。その背景にあるのは「成長のピークで会社を売りたい」という、新しい意思決定のスタイル。
本記事では、M&Aの最適なタイミングの見極め方と、最近の動向について詳しく解説します。
目次
なぜ今、M&Aを「早めに決断」する経営者が増えているのか?
近年、50代で事業譲渡を決断する経営者が増えています。以前であれば、70代・80代になってから「そろそろ後継者が見つからない」と相談されることが多かったM&Aですが、今では50代で売却を選ぶケースが目立つようになっています。
その背景には、次のような考えがあります。
「この先、同じテンションで20年30年と事業を続けるイメージが持てない」
経営者が50代を迎える頃、体力や気力の面で「あと20年走り続けるのは正直きつい」と感じ始める方は少なくありません。
特に創業社長の場合、これまで休みなく会社を引っ張ってきたことも多く、「この働き方をいつまで続けるのか」と自問するタイミングが訪れます。
人生のセカンドステージに思いを馳せ、「今ならまだ元気なうちに決断できる」とM&Aに前向きになるケースが増えています。
「いまの事業が右肩上がりで調子が良い『ピーク』の状態にある」
会社の成長には波があります。創業から拡大期を経て、ある程度の規模に達したあと、成長が鈍化したり、次の一手に悩んだりすることも。そんななか、「この業績を維持し続けるのは難しい」「そろそろピークを迎えそう」と肌感覚で捉えている経営者は多くいます。
今後の成長余地を買い手に託し、自らは“ピークで退く”という判断は、理にかなった出口戦略と言えるでしょう。
「このタイミングで売れば、高い評価額がつきやすいかもしれない」
M&Aにおける譲渡価格は、基本的に業績(売上・利益)をベースに算定されます。
つまり、業績が好調な今こそ、買い手から高い評価を受けやすい絶好のタイミングです。
一方で、売上が下がりはじめたり、事業の先行きに不安があると判断されると、評価額は一気に下がってしまいます。
高値での譲渡を望むなら、調子が良いうちに動くことが成功のカギとなります。
「手元資金で不動産や定期収入を確保し、次の人生設計を考えたい」
事業売却によって得られる資金を活用し、第二の人生を安定して送るための準備を始めたいという考えも、50代の経営者に増えている傾向です。
たとえば、不動産投資で家賃収入を得たり、金融資産を分割しながら生活費に充てたりと、リスクを抑えた人生設計が可能になります。「事業リスクから一度離れ、家族や自分の時間を大切にしたい」というライフステージの変化が、売却の大きな動機になるのです。
実際、「売ると決めたが、売ったあと何をするか」が決まっていないために、決断に踏み切れないという声もよく聞かれます。しかし、M&Aで損をしないためには、「売却の意思」が固まった時点で、早めに動き出すことが肝要です。
M&Aのベストタイミングは“成長のピーク”
M&Aにおけるベストタイミングとは、「会社がまだ元気で、業績も好調なうちに売却を検討すること」です。
例えば、業績が右肩上がりで、経営者自身も「そろそろピークを迎えそうだな」と感じるタイミングこそ、買い手から最も高い評価がつく瞬間です。
逆に、赤字になったり、売上が落ち込んでからでは、買い手も慎重になり、希望する価格での売却が難しくなってしまいます。
「もう少し伸びるかも」「まだやれるかも」と判断を先延ばしにしてしまうと、売却機会を逸し、結果的に買い手が見つからなくなるケースもあります。
業種を問わず、「事業のピークで売る」ことを意識している経営者は、最近では特に増えています。創業者だからこそ、自社の成長サイクルを肌感覚で掴めるのです。
売却後の人生設計もセットで考えることがポイント
「会社は売りたい。でもその後の人生が決められない」――そんな声も少なくありません。
ある経営者は、売却後はもう一切新規事業はせず、手元の資金を分割して生活費に充てながら、余生を過ごすという人生設計を選びました。逆に、「好きなことだけして生きていく」と、趣味に没頭する人もいます。
50代でM&Aを決断する方にとっては、「事業をもう一度ゼロから立ち上げる」という選択肢には疲れを感じることも多く、「いまが最後の売り時」と判断していることが多いのです。
売却後の過ごし方に正解はありませんが、人生設計とセットでM&Aを検討することが、迷いのない決断につながります。
このあたりの実情については、下記の過去記事もぜひあわせてご参照ください。
・【介護事業者】M&A体験談①
・先細りしていく将来を見越して、競合企業へのM&Aを決断! 「自分にとっても従業員にとっても、いい結末に終わりました」
「再生型M&A」が増えている?
一方、M&A業界では「再生案件」――すなわち業績が悪化してからの売却依頼――も増加傾向にあります。もちろん再生案件もM&Aによって活路を見出せるケースはありますが、「本当はもっと良い条件で売れたはず」という声も後を絶ちません。
売上・利益が落ち始めてからでは、買い手の選択肢も限られ、譲渡条件も妥協せざるを得なくなります。これは、あらゆる業種に共通する事実です。
だからこそ、「業績が好調な今こそが売り時」という視点を持つことが重要なのです。
「再生型M&A」については、下記の過去記事もあわせてお読みください。
・「再生型M&Aとは? 普通のM&Aとの大きな違いを解説」
・「企業再生とは?――具体的な方法やメリット・デメリットを徹底解説!」
まとめ――M&Aは「決断の速さ」が成功のカギ!
M&Aを成功させるための最大のポイントは、「タイミング」です。
・業績が好調な今のうちに売る
・自分のモチベーションがあるうちに行動する
・売却後の人生設計もセットで考える
これらを意識して早めに動くことが、希望に近い譲渡条件でM&Aを成立させるための近道です。
M&Aは「出口戦略」であると同時に、「新たな人生の入口」でもあります。
「そろそろかな」と思った今が、もしかするとベストタイミングかもしれません。
まずは一度、信頼できる専門家に相談してみてください。未来の選択肢を、いま広げておくことが何より大切です。
小川 潤也
株式会社絆コーポレーション
代表取締役



