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ローカルM&Aマガジン

Q「M&Aを考えていますが、従業員のことが心配です。従業員の雇用をそのまま継続させたいのですが……」

[著]:小川 潤也

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(質問者様)
建設会社の経営者を50年ほどやってきましたが、年齢のこともあり、M&Aを考えていますが、15人の従業員の先行きが不安です。M&Aでは従業員の雇用も継続させられるのでしょうか?

(小川)
まず結論から申し上げますと、従業員の雇用を継続させることは可能です。実際のM&Aのケースを交えながら、従業員の雇用について解説しますね。

まず、M&Aを行なった場合、M&Aの形態や目的によって従業員に対する取り扱いは変わってきます。ただ、一般的なM&Aの場合、買い手企業が売り手企業の従業員を引き継ぐことは大原則となっております。

(質問者様)
引き継ぐことが原則なんですね。では、買い手企業側にとって従業員の雇用を継続させるメリットはなんですか?

(小川)
従業員の雇用を継続させることは、企業としての社会的責任だけでなく、企業の安定や成長にとって重要な要素と言えます。M&Aによって企業統合が行われる際、従業員が安心して働ける環境を整備することで、人材の定着やモチベーションの向上につながります。

そもそも、最近は人手不足で、特に建設業は資格者がどこの会社も喉から手がでるほど、欲しいので、心配には及びません。

(質問者様)
なるほど。実際に従業員の引き継ぎまで成功したM&Aの例にはどのようなものがありますか?

(小川)
弊社のサポートした事例でいえば、たとえば土木工事業者の例もありましたし、介護の事業売却した事例が挙げられます。
もともと建設関連の事業を営んでいる会社で、デイサービスやショートステイの介護施設の運営もしていました。しかし、コロナ禍の影響で事業が伸び悩み、銀行への返済も難しくなったことでM&Aを検討されたんです。

詳しくはこちらの記事にて解説していますので、参考にしてみてください。↓

悩むよりも断然、行動したほうがいい! 「はじめの一歩」を踏み出したらあとは「おまかせ」で、ストレスなくM&Aを成功させた体験談

(質問者様)
なかなか厳しそうな状況ですね。スムーズに買い手は現れたのでしょうか?

(小川)
はい、比較的スムーズに決まりました。最初に私たちから100社以上の買い手候補リストアップし、その中から買い手候補に打診し、7ヶ月ほどで1社に絞られました。事前に条件をお伺いしていて、あとは私どもに任せていただいたこともあり、そこから半年程度で引き渡しまで完了しました。介護という社会的にニーズの高い業種というのも大きかったですね。

(質問者様)
それはすごいですね。ただ、従業員の不安や懸念もあると思うんですが。

(小川)
はい、M&Aを行ううえでは、従業員に不安や懸念が生じることも当然あります。統合後の雇用条件や組織文化の変化に不安を抱くこともあるでしょう。だから、現状の雇用条件を引き継いでもらうことを条件にしたりします。また、従業員保護のためには、事前に適切なコミュニケーションを行ない、不安を取り除く努力が必要です。

(質問者様)
従業員のサポートやフォローとしては、具体的にどんなことが必要なのでしょうか?

(小川)
先ほどお伝えした事例でいえば、買い手企業にも来てもらい、従業員説明会を実施しました。「これまでと同じ条件で同じように雇用を引き継ぎます」と従業員全員の前で宣言していただいたことで、一気に不安は取り払われました。重要なポイントとしては、従業員の安心感や働きやすさを確保するために、統合後の組織文化や福利厚生の調整、キャリアアップの機会の提供などを考えることです。従業員の質問を全部聞いて、不安を解消すること、また、個別の面談の機会を設けることも重要ですね。

具体的な成功事例については「悩むよりも断然、行動したほうがいい! 「はじめの一歩」を踏み出したらあとは「おまかせ」で、ストレスなくM&Aを成功させた体験談」でも解説しているので、こちらも参考にしてください。

(質問者様)
なるほど。M&Aを成功させるためには、従業員に安心感を与えることが大切ですね。

(小川)
その通りです。従業員の不安を解消したうえで雇用を継続させることで、企業統合が円滑に進みます。従業員の雇用を継続させてその生活を守るためにも、M&Aは活路となるでしょう。

(質問者様)
とてもわかりやすい解説をありがとうございました。実際の成功事例も拝見しながら、安心してM&Aを検討できそうです。

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著者

小川 潤也

株式会社絆コーポレーション
代表取締役

1975年新潟県新潟市(旧巻町)生まれ。株式会社絆コーポレーション代表取締役社長。大学卒業後、株式会社富士銀行(現・みずほ銀行)入行。法人担当として融資、事業再生、M&Aなどの総合金融サービスを手がける。2004年、医療介護の人材サービスを手がける株式会社ケアスタッフの代表取締役に就任。また銀行勤務時代に培った新規取引先の開拓やM&Aでの経験を生かし、地方都市の後継者不在、事業承継ニーズに応えるべく、株式会社絆コーポレーションを設立。M&Aアドバイザリー事業、スペシャリストの人材紹介事業を展開。著書に『継がない子、残したい親のM&A戦略』(幻冬舎)がある。
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