KIZUNA ローカルM&Aの
絆コーポレーション

ローカルM&Aマガジン

悩むよりも断然、行動したほうがいい! 「はじめの一歩」を踏み出したらあとは「おまかせ」で、ストレスなくM&Aを成功させた体験談

[著]:小川 潤也

Pocket

不動産仲介業を本業としつつ、デイサービス・ショートステイの施設を経営されていたT・M様。

コロナ禍で経営状況が悪化したことをきっかけに、それまでは頭になかったM&Aに踏み切り、スムーズに事業を承継させることができました。

本記事では、T・M様のM&A成功の実態に迫ります。

従業員と利用者の引き継ぎを条件に

−−まず、御社のこれまでの事業について簡単にお聞かせください。

私はもともと不動産仲介業を営んでいまして、そこで付き合いのあった不動産業者がデイサービスセンター施設の土地を所有していた関係で、以前の経営者から名前を引き継いで施設の運営を5年間行っていました。

−−今回M&Aに踏み切ることになったきっかけは、どんなことでしたか?

最初のうちはまだ、業績が伸びていく傾向だったんですが、コロナ禍がありまして、そこからなかなか伸びなくなったんです。さらに、近隣に大きめの特養(特別養護老人ホーム)ができまして、職員や利用者さんが若干、そちらに移ってしまったりということもありました。

そんなわけで、銀行への返済も難しいような状況になってきてしまったんです。そこで銀行さんと何度もミーティングを重ねて、対策を検討していました。その中でM&Aという手段があるという話になり、銀行さんから絆コーポレーションの小川社長を紹介されたわけです。

−−M&Aにあたって、K・T様からの条件はどんなものだったのでしょうか?

当施設の従業員はパート・アルバイトも含めると30人あまりいますので、彼らの生活は守らなくてはなりません。ですから基本的には、今現在働いてくださっている従業員の方々を、そのまま引き継いでほしいということ。それから、現在デイサービスやショートステイを利用してくださっている利用者の皆さんに対しても、経営者が変わることでストレスを感じさせることなく、そのまま引き継いでほしいということ、それが一番の条件でした。

すべておまかせでスムーズに進んだM&A

−−M&Aの具体的な進め方はどんな具合だったか、お聞かせください。

初めて小川社長にお会いしたのが、去年の5月でしたので、ちょうど1年前になります。こちらの状況をお話ししまして、小川さんの方からは、まず買い手として打診してくださる企業の候補を、100社以上もリストアップしていただいたんです。その中から、私のほうでここはダメだという企業があったら教えてほしい、と言われました。

私どもの方は、特にここはダメだということはなくて、先ほどの条件さえ叶えられれば、どちら様でも構わないと思っていたので、そのようにお伝えして、あとはほぼすべて小川さんにおまかせしました。

その後は小川さんのほうから伝えてくださる情報を逐一聞いていました。

−−最終的に1社に絞られ、成約というかたちになるまでの流れは?

1社に絞ったのは昨年の12月頃ですから、最初に小川社長にお会いしてから7カ月ほど後ですね。最終的な契約というのは今年に入ってからの2月です。その間にいろいろな条件面のすり合わせを行ってきました。

買い手に決まったのは、同じ県内の、基本的には同じ業界の方です。2月に無事に契約をしまして、5月1日からの引き渡しということに決まりました。

−−M&Aを進めていく中で難しかったことや、印象に残っていることはありますか?

小川社長にほぼまかせておりました。金額面では頑張っていただきたい、というような話だけはしておりました。

私どもの介護という業種は、社会的にニーズの高い業界でもありますので、皆さんのほうからいろいろ親身になって協力してくださいましたね。今回のM&Aに関することで東京にちょっと用事があって行く時も、小川社長が一緒に来てくださったりしました。

小川さんには連絡も密にしていただきましたし、いろいろ細かいことまで心配をしていただいて、本当に感謝しております

−−従業員の方にお話をされた際には、皆さんどのような反応でしたか?

従業員の皆さんに集まっていただいて社員説明会を開催しまして、買い手さんも一緒に出席しました。買い手さんはこれまでと同じ条件で同じように雇用を引き継ぎます、ということを言ってくださったので、とりあえず安心はしたと思います。その席でも特に質問等もございませんでした。

その時のレジュメなどいろいろな資料は、小川さんの方で作ってくださいました。

とにかくまず相談してみること

−−M&Aを終えられて、K・T様は今どのようなお気持ちですか?

5月の引き渡しまではとにかくしっかりやっていかなきゃ、という気持ちはありましたので、今無事に引き渡しを済ませてほっとしているところです。まだ60代初めなので、これからセカンドライフ、という感じではないですね。もともとが不動産仲介業でしたので、そちらの方に戻って専念する予定です。

−−最後に、M&Aについて悩んでおられる経営者さんに対して、メッセージをいただきたいと思います。

私どもも、銀行さんに助言をいただくまでは、M&Aという手段が具体的にイメージできてはいませんでした。ただ正直な話、このまずるずるとやっていけば資金的にも本当にきつくなりますし、このままではいけないんだという気持ちはあったんです。

今回はたまたま、介護施設ということで、銀行さんはじめいろいろな方々が親身になってくださいましたが、どんな業種であっても必ず助けてくださる方はいると思います。やはり、自分たちだけで悩んでいても何もできないので、とにかく思い切っていろいろなところにご相談をして、信頼のおける方を探していただければと思いますね。

−−従業員も安心して働け、利用者の方々もこれまでどおり施設を利用できるというベストなかたちで引き継ぎを行うことができたT・M様の、今後のご活躍をお祈りしております。

Pocket

著者

小川 潤也

株式会社絆コーポレーション
代表取締役

1975年新潟県新潟市(旧巻町)生まれ。株式会社絆コーポレーション代表取締役社長。大学卒業後、株式会社富士銀行(現・みずほ銀行)入行。法人担当として融資、事業再生、M&Aなどの総合金融サービスを手がける。2004年、医療介護の人材サービスを手がける株式会社ケアスタッフの代表取締役に就任。また銀行勤務時代に培った新規取引先の開拓やM&Aでの経験を生かし、地方都市の後継者不在、事業承継ニーズに応えるべく、株式会社絆コーポレーションを設立。M&Aアドバイザリー事業、スペシャリストの人材紹介事業を展開。著書に『継がない子、残したい親のM&A戦略』(幻冬舎)がある。
最新M&A情報を届ける 登録無料のメールマガジン 売買案件 体験談 最新コラム