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ローカルM&Aマガジン

続・M&A業者からのDM問題を徹底検証!――「信頼できるパートナー」を選ぶポイントは?

[著]:小川 潤也

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M&A業者から大量に送られてくるDM――大廃業時代を背景として雨後の筍のようにM&A業者が現れ、多くの会社がDM攻勢にさらされています。

しかしM&Aに慣れていない経営者が、DMだけを見てM&A業者の良し悪しを知ることは、非常に難しいものです。

今回は、DMでアプローチしてくる業者の中から、質の低い業者を見抜くポイントと、最適なパートナーの選び方を解説しましょう。

下記の記事もぜひあわせて参考にしてください。

参考:M&A業者から大量に届くDM!――「キケンな業者」を見分けるポイントは?
https://www.kizuna-corp.com/column/ma-dm/

キケンな業者のパターン5選!

まずは、質の低いM&A業者によくある5つのパターンをご紹介しましょう。

パターン①:「とにかく会いたい!」「大事な話があります」――熱意だけで面談をゴリ押ししてくる

DMや手紙に具体性がなく、ただ「大事な話なので会いたい」と記載されているのみ……こうした業者は要注意。

同様に、テレアポで具体的な内容に言及せず、執拗にアポイントを取ろうとしてくる業者にも注意が必要です。

M&A業者が本当にあなたの会社に関心をもち、きちんと調べたうえで話を持ちかけようとしているのであれば、伝えたい言葉はたくさんあるはず。

「とにかく会いたい!」というだけの業者は、具体的な提案材料をもっていないといえます。

あるいは、営業力に自信を持っている会社で、会いさえすればなんとかなる自信があるのかもしれませんが、いずれにせよそうした業者では、M&Aを成功させるのはまず無理でしょう。

パターン②:「御社を買いたい企業があります」――ダミーの買い手企業を使って釣ろうとする

「御社を買いたいという具体的な候補がいます」などの売り文句で面談にこぎつけようとする会社も、非常に危険です。

「それでは、買い手候補を見せてくれ」と依頼したところで、結局具体的な社名は伏せられており、多くの会社に当てはまりそうな文言が並んでいるのみというケースがほとんどです。

ダミーの情報で、架空の会社を買い手企業と挙げ、あなたの会社と秘密保持契約を結ぼうとねらっているのです。

秘密保持契約を結べば、業者が持っている買い手候補の情報を開示してくれますが、それによって一気にM&Aをゴリ押ししようと仕掛けてきます。

こうした「ゴリ押し路線」の会社は、「どんな条件でもM&Aが成立すればいい」という考えに立っていることが多く、ベストなM&Aを叶えらないことが多いのです。

パターン③:「M&A業界で大手です!」――企業としての実績だけを大々的にアピールしてくる

会社の実績をDMで大々的に訴えるというのは、頼もしく思えるかもしれませんが、実績豊富だからといって安易に信用してはいけません。会社の実績が豊富でも、担当者個人の実績が豊富だとは限らないからです。

M&Aは非常に属人的な業務で、担当者個人の人柄や専門性、人脈がものをいいます。

一流企業であっても「ハズレ担当者」はたくさん存在し、特に近年では、多くの銀行や証券会社の若手が、大手M&A会社に流れて業界を闊歩しています。

「案件担当は初めてです」という新人営業マンに自社のM&Aをまかせるのは、非常に不安です。

パターン④:売り手業界のことに精通していない

DMを見るときのポイントとして、あなたの業界に対する知識があるのかどうかを確認しましょう。

実績が豊富で業界知識があるなら、DMの文言には必ず、業界個別の事情をふまえた内容が含まれるはずです。

どこの業界に置き換えても通じるような汎用的な文言しか並んでいない場合、その会社の実力は疑ってかかるべきでしょう。

パターン⑤:そもそもM&Aの知識があまりない

パターン③でも述べましたが、近年のM&A業界には他業界の営業出身者が多く流れ込んでいます。彼らは営業スキルは高いですが、M&Aの知識はまったくない人が多いのです。

M&Aにおいて、営業段階と契約締結後のディールでは、担当者に求められる能力がまったく違います。

ディールでは、基本的には最初についた営業担当者がずっとパートナーになりますから、知識のない人間と契約を結んでしまえば末路は悲惨です。

M&Aにおいて信頼できるパートナーの条件とは?

それでは、質の良いM&A業者をどのように見抜けばいいのでしょうか?

信頼できるパートナーの条件を解説しましょう。

条件①:その業界の事情に詳しく、M&Aにかかわらず有益な情報を知っている!

該当業界に詳しいM&A担当者は、さまざまな企業に出入りし、豊富な情報を持っているもの。

そのような担当者であれば、情報交換として一回会ってみる価値があるでしょう。

M&Aに直結する情報だけでなく、事業に生かせるような思わぬ有益情報を得られるかもしれません。

条件②:そのエリアの事情に詳しい!

当社のコラムで繰り返し述べていますが、M&A業者にとって地元のネットワークは非常に重要です。

当社がかかわったケースで、ある売り手企業は、業績こそ不振でしたが他社にはない強みがありました。ただしそれは、どの企業でも欲しがるような強みではなかったため、買い手探しは難航するように思われました。

しかし結果として、当社が長年地元で培ったネットワークを駆使し、買い手になりそうな企業を探し出して契約を成立させたことがあります。

手前味噌ですが、エリア事情に詳しいのは、信頼できるM&Aのパートナーとして必須の要件というように考えています。

条件③:担当者自身にM&Aを成約させた実績がある!

前述のとおり、近年のM&A業者の担当者は経験不足の人間が少なくありません。

特に若手の担当者が出てきたら、会社の実績だけでなく本人の実績を必ず確認しましょう。

本人が答えをにごし、とにかくM&Aにこぎつけるためのセールストークをまくし立てるようであれば、その担当者はお断りしたほうがいいでしょう。

条件④:自社と同じくらいの売り上げ・利益規模の企業のM&A実績がある!

M&Aは、売上規模によって勝手がまったく違います。

当社の場合はお客様のゾーンはおおよそ売上が1億円から数十億円、売却価格が数億円の案件が多いです。100億以上の大手企業は銀行や証券会社が得意とする分野です。

逆に言えば、「どんな規模の案件も得意」などと担当者が言っている場合は、疑ったほうがよいでしょう。

まとめ

M&Aにおいて、担当者選びは非常に重要です。

もし売却の意向があるのであれば、自社に適したM&A業者と担当者をよく吟味することが、M&Aを成功させる最初のステップとなるでしょう。

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著者

小川 潤也

株式会社絆コーポレーション
代表取締役

1975年新潟県新潟市(旧巻町)生まれ。株式会社絆コーポレーション代表取締役社長。大学卒業後、株式会社富士銀行(現・みずほ銀行)入行。法人担当として融資、事業再生、M&Aなどの総合金融サービスを手がける。2004年、医療介護の人材サービスを手がける株式会社ケアスタッフの代表取締役に就任。また銀行勤務時代に培った新規取引先の開拓やM&Aでの経験を生かし、地方都市の後継者不在、事業承継ニーズに応えるべく、株式会社絆コーポレーションを設立。M&Aアドバイザリー事業、スペシャリストの人材紹介事業を展開。著書に『継がない子、残したい親のM&A戦略』(幻冬舎)がある。
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