最終更新日:2025年7月9日
本記事では、M&Aの専門家と結ぶ「M&Aアドバイザリー契約」について、契約形態からメリット、注意点まで徹底解説します。
目次
M&Aアドバイザリー契約とは?
アドバイザリー契約とは、専門的な知識や経験に基づく助言やサポートを受けるために、外部の専門家と結ぶ業務委託契約を指します。
M&Aでは、売り買いの相手の選定から基本合意書の締結、財務や法務、人事などを調査するデューデリジェンス、リスク対策まで、多岐にわたる専門知識が必要になりますので、外部の専門家の力を借りるのが一般的です。
アドバイザリー契約と他の契約との違い
ここで、「アドバイザリー契約」とその他の契約の違いを見てみましょう。
アドバイザリー契約は業務委託契約の一種!
業務委託契約とは、特定の業務を外部へ依頼する際に結ぶ契約のことです。
業務委託は大きく「委任」と「請負」の2つに分けられます。事務処理などの業務の遂行を目的とする委任契約を、完成物の納品が目的の場合は請負契約を結ぶのが一般的です。
アドバイザリー契約は、業務委託契約のうちの「委任契約」に当たると考えればいいでしょう。
「M&Aコンサルティング契約」との違いは?
コンサルティング契約とは、専門的な知識やノウハウなどの情報提供や指導のための契約です。
実は、コンサルティング契約とアドバイザリー契約には法的な定義がないため、明確な違いはありません。
強いて言えば、コンサルタントは狭い範囲に深くアプローチしますが、M&Aアドバイザリーは広い範囲をカバーするという違いがあります。
「顧問契約」との違いは?
顧問契約とは、特定の分野において専門的な知識や経験、能力を持った専門家のサポートを受ける際に結ぶ契約のことです。
アドバイザリー契約との違いは、契約期間と報酬を支払うタイミング。アドバイザリー契約では、M&Aが成約するまでを契約期間とし、手続き完了時に報酬を支払う成果報酬のスタイルが一般的です。
一方で、顧問契約では、継続的な契約が前提。期間を定めず、成果報酬ではなく月単位で報酬を支払うのが特徴です。
M&Aアドバイザリー契約の契約形態を知ろう!
次に、アドバイザリー契約の契約形態について見ていきましょう。
専任契約
・特徴とメリット
専任契約は、M&A専門会社と独占的に結ぶ契約形態です。仲介会社やアドバイザリー会社を1社に限定し、契約期間中は他の会社と契約できません。
専任契約のメリットは2つあります。1つは情報漏洩のリスクを軽減できること。もう1つは、M&A専門会社に優先的に買い手候補企業を探してもらえる可能性が高まることです。
・デメリットと注意点
M&A専門会社の担当者と相性が合わなかったり、期待した能力を持っていなかったりする可能性があります。
満足できずに契約を解除して他の受託先を探すとなると、費用がかさんでしまいます。
非専任契約
・特徴とメリット
非専任契約とは、複数のM&A専門会社と同時に契約を結べる形態のことです。
メリットは大きく2つ。1つは、M&A専門会社や担当者とのミスマッチのリスクを減らせること。もう1つは、複数の会社から情報収集できて、アプローチ先が広がることです。
・デメリットと注意点
複数のM&A専門会社がさまざまな企業にアプローチするため、情報管理が難しくなります。万が一、情報が漏洩した場合、漏洩元を特定することも困難です。
それに、専任契約ほどは優先的に手厚いサポートを受けられない可能性もあります。
M&Aアドバイザリー契約、気になる報酬体系は?
主な報酬形態
・着手金
アドバイザリーを依頼した段階で支払うのが着手金です。M&Aが成約するかどうかにかかわらず、各種の調査や書類作成などに着手する上で必要な費用です。
ただ、近年は着手金ゼロのM&A専門会社も増えています。
・中間報酬
M&Aの相手先が決まり、当事者が基本合意した段階で発生するのが中間報酬です。
・成功報酬
M&Aの成約後に支払うのが成功報酬です。成功報酬はレーマン方式という方法で算出されることがほとんどです。
※レーマン方式については、過去記事「M&Aのレーマン方式を徹底解説」もあわせてご参照ください。
・月額報酬
月額報酬は、契約期間中に毎月定額が支払われる報酬です。M&A成立までの専門家の活動費であり、リテイナーフィーとも呼ばれます。
また、報酬体系選定時の注意点として、2つを挙げておきましょう。
①費用対効果を検討する!
アドバイザリー契約の報酬は、企業規模や事業内容、案件内容によって異なります。このため、一概に相場を示すことはできません。
そもそも、アドバイザリー会社によって報酬体系が異なります。事前に複数社の報酬を比較して、費用対効果を検討しましょう。
②透明性をチェックする!
報酬体系が明確になっているかどうかは、アドバイザリー会社を選ぶための必須要件。
報酬体系をきちんとチェックしましょう。
M&Aアドバイザリー契約を締結する3つのメリットと注意点!
ここで、アドバイザリー契約を締結するメリットをまとめておきましょう。
①スムーズなM&Aプロセスを実現できる!
多くの経営者はM&Aにあたってどのようなプロセスを踏めばいいかわからないという方が大半だと思います。
アドバイザリー契約を結ぶことによって、ムダのないプロセスでM&Aを進められるのは、非常に大きなメリットです。
②専門知識によるリスク回避ができる!
アバイザリー契約を締結することで、M&Aの専門的な知識や経験を補うことができます。
専門家を入れることで無用なトラブルを防ぐことができるため、スムーズにM&Aを進めやすくなります。
③自社に適した戦略立案を支援してもらえる!
自社でM&Aの相手企業を探そうとしても限度があります。その点、専門家なら幅広い選択肢を提示してくれるでしょう。
その結果、自社に合った相手企業を見つけられる可能性が高まります。
M&Aアドバイザリー契約締結時の注意点は?
アドバイザリー契約のメリットばかりに気を取られるのは、いささか危険です。次の2つの注意点をしっかり確認しておきましょう。
いずれも基本は、「契約内容の詳細まで確認する」ことです。
①業務範囲を明確化する!
M&Aのプロセスは、広範囲にわたるだけでなく、複雑です。スムーズにプロセスを進めていくには、アドバイザリー契約の業務内容や範囲を明確化することが大切です。
②報酬体系を理解する!
後でトラブルにならないように、報酬体系についても納得いくまで説明してもらうようにしましょう。
アドバイザー選定時のポイントは?
最後に、アドバイザーを選定するときに大切な点をまとめておきます。
①信頼性と実績を確認する!
M&Aの専門家になるには、とくに資格などは必要ありません。極端にいえば、たとえ実績がなくても、未経験でも、誰でも今すぐM&Aの専門家を名乗れるのです。
M&A業界には、およそ専門家とはいえないような怪しい人材も紛れ込んでいます。M&A専門会社の実績は必ず確認しましょう。
②地元に強いかどうかを見極める!
地方に立地する中小企業の場合、意外と重要なのが地元に精通しているかどうかがキモとなります。
なぜなら、M&A支援には知識だけでなくネットワーク力が求められるからです。
地元の金融機関や企業、弁護士・会計士などと深い関係性を持っているかどうかで、M&Aの成否は左右されます。
まとめ
M&Aを進めるには、専門家のアドバイスが欠かせません。しかし、専門家によって知識や経験は千差万別。信頼できる専門家に依頼することが極めて重要です。
M&Aアドバイザーの信頼性をきちんと見極めるようにしてください。
小川 潤也
株式会社絆コーポレーション
代表取締役




