M&A用語集
吸収合併
合併の種類で、一方の法人格のみを残し、合併により消滅する会社の権利義務を、合併後存続する会社に包括的に承継させる手法のことをいう。消滅した会社の財産のすべてが存続する会社に移転される。したがって、簿外債務のような認識していなかったものについても承継されるリスクがあるので、M&Aの局面ではデューデリジェンスの手続きは重要になる。これ以外に、すべての法人格を消滅させ、合併により設立する会社に承継させる新設合併などがある。新設合併は、新たな会社の設立が伴い、新株券との交換、財産移転登記、登録手続等について当事会社が2社の場合、吸収合併に比べて2倍の費用がかかり、手続き及び費用の面で不利になることから、実務では、圧倒的に吸収合併が利用される。合併は被合併会社の法人格が消滅してしまうことや異なる企業文化を短期間に統合する必要性が生じることから、特に対象企業側で抵抗感が生じる場合がある。賃金体系・企業年金制度等の制度面においても短期間に統合する必要がある。合併によるM&A手続きの概要は、①合併契約の締結、②株式総会による合併契約の承認、③債権者保護手続き、④株主の株式買取請求、新株予約権者の新株予約権買取請求、⑤公正取引委員会への届出、⑥登記、である。