無料窓口も! 事業承継の相談相手それぞれの強みと特徴

国や自治体の窓口から民間企業、士業まで、事業相談の窓口は多岐にわたります。
それぞれの強みと特徴、相談するメリット・デメリットを解説します。
事業承継の相談先候補7選!
事業承継の相談相手としては、次の7種類の候補が挙げられます。
① 金融機関
② 税理士
③ 弁護士
④ M&Aアドバイザリー会社
⑤ M&A仲介会社
⑥ 経営コンサルティング会社
⑦ 公的な相談窓口
① 金融機関:自社の財務状況をよく知っているのがメリット
ふだんから顔を合わせる取引金融機関は、事業承継の相談先候補として真っ先に考える相手です。金融機関は数多くの企業を見てきているので、事業承継についても有益なアドバイスが得られる可能性は大。
事業承継が得意な経営コンサルタントを紹介してくれるかもしれません。
ただし、金融機関もビジネスですから、事業承継をきっかけに追加の融資、もしくは金融商品の販売やコンサルタントを紹介して、マッチングフィーをもらえるように誘導してくる可能性もあります。
既に多額の借り入れをしている場合は、承継の悩みよりも承継後の返済について心配され、話が噛み合わないかもしれません。
② 税理士:経営全体の専門家でない点には注意
自社の顧問税理士は、金融機関同様、経営者と距離の近い存在です。事業承継を考えた際、「まずは税理士に相談してみよう」と考える人も多いでしょう。
税理士の強みは、事業承継税制など、事業承継に絡むお金の部分に詳しい点です。
「株式の贈与で発生する税金をなんとかしたい」など、課題がはっきりしている場合は、ベストな相談相手になりえます。
ただし、多くの税理士が企業経営全体の専門家ではないことには、注意が必要です。
税理士から受ける事業承継全体のアドバイスを間に受けてしまうと、失敗を招く可能性もあります。税理士は税金に関するプロフェッショナルです。
③ 弁護士:承継トラブルの防止に強み
弁護士のなかにも、「事業承継に強い」とうたう人がいます。
弁護士に相談する最大のメリットは、株式移転などに絡む法律面を知り尽くしていること。
事業承継でトラブルが発生するリスクを事前に想定し、対策を講じることができます。
少数株主がたくさんいるなど、こじれやすい要因がある場合は、弁護士に相談してみてもよいでしょう。
一方、弁護士に相談する注意点は、税理士同様に経営全体のプロではないこと。
「法律分野だけの相談相手」と割り切るのがおすすめです。
④ M&Aアドバイザリー会社:後継者がいなくても事業承継できる
事業承継を考えているものの、適切な後継者がいない――そんな経営者であれば、M&Aアドバイザリー会社に相談してみるのもひとつの手。
M&Aアドバイザリー会社とは、売り手の側に専属でついてM&Aを成功に導いてくれる専門家です。
なかには、手付金なしで相談に乗ってくれる会社もあるので、後継者不足に悩む企業はいちど話を聞いてみれば、よい方法を考えてくれるかもしれません。
M&Aが成功すれば、売り手企業の経営者個人が多額の現金を得られるメリットもあります。
⑤ M&A仲介会社:豊富なネットワークが強み
後継者不足の場合、M&Aアドバイザリー会社のほかにM&A仲介会社に相談する選択肢もあります。
買い手企業候補を豊富に有しているので、自社に合った企業を迅速に見つけてもらえる可能性もあります。
注意点としては、M&A仲介会社はあくまで中立的な立場でマッチングのプロとして機能しますので、売り手側に寄り添った提案は期待できないこと。
くわえて、一般的には高額な着手金が発生するので、お金を無駄に払って相談するだけに終わるという可能性もあります。
⑥ 経営コンサルティング会社:適切な会社を見つけられるかがポイント
経営コンサルティング会社にも、事業承継コンサルを行なっている会社があります。
ここで問題となるのが、会社選びです。
コンサルティングの質は、会社ごと担当者ごとにまちまちで、初めてコンサルを使う場合に会社のレベルを正しく判断するのは、非常に困難です。
さらに、基本的に高額な報酬を支払わなければいけない点もネックとなります。
⑦ 公的な相談窓口:無料相談が大きなメリット
大廃業時代といわれる昨今、国や自治体は「事業引継ぎ支援センター」、「商工会議所」、「よろず支援拠点」、「経済産業局」、「経営承継支援」など、様々な事業承継の相談窓口を開設しています。
公的窓口に相談する最大のメリットは、多くの機関は無料で話を聞かせてもらえること。まずは事業承継における概要を知っておきたい場合などは、最初に出向いてみても良いでしょう。
税理士や弁護士など、相談内容に最適な士業の紹介を受けることも可能です。
まとめ
事業承継で大事なのは、まず承継のゴールと自社の現状をきちんと整理することです。そして、課題は何かを知ることです。
そうすれば、相談すべき相手は経営者自身のなかで、自然に定まってくるでしょう。

