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リスケジューリングとは?経営者が知りたい基礎知識と銀行交渉のコツ

投稿日:2021年12月14日

[著]:小川 潤也

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経営者であれば、「リスケ(リスケジューリング)」という言葉を聞いたことがあるでしょう。

借り入れの返済が苦しい経営者にとって、頼みの綱ともいえるのが「融資のリスケ」です。

今回の記事では、リスケについて知っておきたい基礎知識と、金融機関交渉のコツを解説します。

リスケ(リスケジュール)とは?

まず、リスケについて押さえておきたい基本的な知識を紹介しましょう。

融資返済を滞納すると、恐ろしい事態に!

ご存じのとおり、融資を受ける際に金融機関と結ぶ契約書には、必ず返済期間と月々の返済金額が記載されています。

融資契約には「期限の利益」という権利が設定されており、返済が滞るとこの期限の利益が「喪失」します。

具体的にいうと、借りた資金を金融機関に分割して月々払う約束が消滅し、即時全額返済を要求される契約になっているのです。

そうならないために、返済が苦しくなってきた段階で金融機関に相談し、融資期間の延長や月々の支払い金額を減額してもらうのが、リスケです。

最近はリスケが簡単になった?

リスケについては、近年「以前よりも簡単になった」と考えている経営者が多いようですが、その背景にあるのは、2009年から2019年にかけて施行された「中小企業金融円滑化法」です。

「中小企業金融円滑化法」とは、簡単にいえば、国から金融機関に対し、返済が困難になった中小企業融資や住宅ローンについて、返済猶予や条件変更を強く求める法律です。

この法律に基づき、中小企業へのリスケが積極的に進められました。

なお、円滑化法自体は2019年3月に終了していますが、中小企業庁は引き続き、融資返済が困難になった貸付先に対して猶予措置を取ることを強く求める、という方針を打ち出しています。

新型コロナでさらにリスケは簡単に?

この状況は、2020年になってまた変化しました。

その背景として、現在もおさまらぬ新型コロナウイルスの蔓延があります。

コロナ禍における緊急措置として、政府は金融機関に対して「コロナ融資」の実行を強く要請しています。

日本政策金融公庫などによるコロナ融資といった政府系銀行主導の政策だけでなく、民間金融機関にも中小企業の金融支援を要求しており、現在に至るまで多くの追加融資やリスケが実行されているのです。

リスケジューリング交渉の注意点は?

以上のように、現状は融資のリスケが比較的認められやすい環境下にあるといえます。

しかし、借りたお金は契約書どおりに返済するのが原則ですから、金融機関とのリスケ交渉は慎重に進めなければなりません。

ここで、リスケ交渉の注意点について述べていきましょう。

返済できない理由はエビデンスが必須!根拠があいまいだとNG!

リスケの大前提となるのが、金融機関に対し、融資のリスケが必要な理由を明確に説明できることです。「苦しいから」というようなあいまいな表現で申し立てても、金融機関はリスケに応じてくれません。

例えば月次の資金繰り表や年間の売上見込みなど資料を作成した上で、このままでは返済できず、融資の返済ができないばかりか、資金がショートしてしまうことを銀行に説明することが大事です。

それに加え、自分の業界や自社をどのような苦境が取り巻いているのか、どの程度、返済を猶予してもらえれば、お金は回るのかも説明すること効果的です。

そのような具体的な状況を資料などで明示し、借り入れの返済が苦しい理由を金融機関に納得してもらうよう、努力しましょう。

もしも、リスケに応じてもらえなければ、銀行からは見捨てられたも同然です。他の金融機関へ融資の申し込みを急がねばなりません。

「再生支援協議会」に頼るのも手!

金融機関がリスケに応じる条件として、再生支援協議会の支援をもらうことが必須になることが多いです。

そこで、3ケ年の再生計画を策定し、どのようにリスケから脱出するかの目処が求められます。金融機関としてはその計画を半年毎にモニタリングして、経営状況の改善を見極めるという姿勢となります。

金融機関にとっても再生支援協議会からの支援を受けているというお墨付きがあると、その3年間はリスケに応じる大義名分ができるわけです。

再生計画の作成が自社で難しいようであれば、専門家(登録している税理士やコンサルタントなど)が紹介され、その費用も一部、国の補助金が利用できます。

専門家は必要書面の作成代行から金融機関と二人三脚で、リスケ実現の大きな力になってくれるかもしれません。

まとめ

リスケは苦しい経営状況において、救いの一手になりますが、一方で破たんの先延ばしにしかならない可能性もあります。

リスケの後にどのように事業を立て直し、返済を再開するのかをしっかり計画して交渉しなければなりません。

根本的な立て直しが難しく感じる場合、M&Aのプロに依頼して、売却を前提にしたリスケ交渉に取り組むのも、選択肢のひとつといえるでしょう。

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著者

小川 潤也

株式会社絆コーポレーション
代表取締役

1975年新潟県新潟市(旧巻町)生まれ。株式会社絆コーポレーション代表取締役社長。大学卒業後、株式会社富士銀行(現・みずほ銀行)入行。法人担当として融資、事業再生、M&Aなどの総合金融サービスを手がける。2004年、医療介護の人材サービスを手がける株式会社ケアスタッフの代表取締役に就任。また銀行勤務時代に培った新規取引先の開拓やM&Aでの経験を生かし、地方都市の後継者不在、事業承継ニーズに応えるべく、株式会社絆コーポレーションを設立。M&Aアドバイザリー事業、スペシャリストの人材紹介事業を展開。著書に『継がない子、残したい親のM&A戦略』(幻冬舎)がある。
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