KIZUNA ローカルM&Aの
絆コーポレーション

ローカルM&Aマガジン

Q「建設業の経営者です。M&Aを考えているのですが、成功させるにはなにを・どうすればいいのでしょうか?」

[著]:小川 潤也

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(ご相談者様)

民間工事をメインの建築設備関係の会社を経営しています。従業員は15人、売上7億円いかないくらいです。

65歳を過ぎ、事業承継を考えているのですが、建設業界はどんどん先細りしていくので息子には継がせたくありません。

M&Aを考えているのですが、成功するためにはどうすればいいのでしょうか?

(小川)

当社でも建設業界のM&Aはたくさんお手伝いしていますが、結論からいえば、企業規模にかかわらず、買ってもらえる可能性は十分にあります。

それには、「価値がある」と売り手に感じてもらえることがなによりも重要です。

具体的にいえば、ご存じのとおり建設業界は高齢化が進んでいますから、これから何十年と働いてくれるような若い技術者がいると、その企業ならではの強みになりますね。

(ご相談者様)

うちは、役員層の年代は私と同じくらいですが、現場の社員は各年代がわりときれいにばらついています。昔から地元の学校とツテがあるので、定期的に若い人が来てくれるんですよね。

これは当たり前のことだと思っていましたが、M&Aではそんな部分が価値になるんですね。たしかに、周りの同業を見ると社員全員が60歳以上なんてところも少なくありません。

(小川)

M&Aは、会社の「現在の価値」はもちろん、「将来的な価値=この先稼げる利益」を買うことにいなります。ですので、継続性が担保されているのは大きなメリットです。

ほかにも人の面で言えば、有資格者が多いと当然評価が高くなります。資格を持った従業員の確保は、なかなか大変ですから。

あとは、設備関係だと特に地元のエリア内でなにか強みがあれば、買い手企業から好まれますね。

(ご相談者様)

特に強みと呼べるものが思いつきませんが……。強いていえば、父の代から事業を続けていて、昔から新築の時に設備をさせてもらった地元の建物がわりと多いので、修繕や建て替えとなった場合には声をかけてもらえるお客さんは多いかなと思います。

他は付き合いの長い、元請から受注がもらえます。

(小川)

それは立派な強みです。地元に競合は多いですか?

(ご相談者様)

それほどと思っていますが、競合は多いですね。でも、若い職人が多いので、なにかと声をかけてもらえますね。

(小川)

すばらしい。そのような状況は、M&Aの買い手の目には、売上拡大のポテンシャルがある会社だと映ります。

仕事部分を担保さえすれば、業績が伸びると考えられますからね。

(ご相談者様)

このご時世の建設会社で、売上拡大ですか。そんな会社があるんでしょうか?

(小川)

この時代だからこそ、です。ご相談者様が感じられているとおり、人口と税収が減っていく日本においては、公共投資の将来的な見通しは決して明るくありません。

ですので、民間主体の設備工事は魅力に映ると思います。

(ご相談者様)

建設や土木の会社は新しいところとはなかなか付き合いはしにくいですからね。

(小川)

そのために、M&Aは自社ではやってない分野の会社を丸ごと買い取り、新規事業として取り組んで、多角化を狙う企業もいます。

そのようなM&Aは単なる売上の足し算狙いではなく、大企業のリソースを使って買収し、人材を送り込んで別の分野も取りにいったりと、地元に拠点を得るとシナジー効果をとても大きくできる可能性があります。

その意味では、M&Aを考えるにしても現状維持でなく、攻めの姿勢で経営していると買い手企業への強いアピールになります。

(ご相談者様)

なるほど、ありがとうございます。うちみたいな小さな会社でも売却できる可能性はあるんですね。

数年先のM&Aを意識しつつ、まずは目先で攻めの経営を頑張ってみます。

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著者

小川 潤也

株式会社絆コーポレーション
代表取締役

1975年新潟県新潟市(旧巻町)生まれ。株式会社絆コーポレーション代表取締役社長。大学卒業後、株式会社富士銀行(現・みずほ銀行)入行。法人担当として融資、事業再生、M&Aなどの総合金融サービスを手がける。2004年、医療介護の人材サービスを手がける株式会社ケアスタッフの代表取締役に就任。また銀行勤務時代に培った新規取引先の開拓やM&Aでの経験を生かし、地方都市の後継者不在、事業承継ニーズに応えるべく、株式会社絆コーポレーションを設立。M&Aアドバイザリー事業、スペシャリストの人材紹介事業を展開。著書に『継がない子、残したい親のM&A戦略』(幻冬舎)がある。
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