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M&Aによる売却で一括見積もりサイトを使っては絶対ダメな理由

[著]:小川 潤也

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近年になって、「M&Aの一括見積もり」をうたうサイトが多数登場しています。

引越し業者や複合機業者などの相見積もりサイトがブームになった影響で、M&A業界でも一括見積もりサイトが現れているのです。

しかし、M&Aによる売却を考える経営者にとって、一括見積もりサイトの利用は禁物。

今回の記事では、M&Aで一括見積もりサイトを使ってはいけない理由を解説します。

「M&A一括見積もりサイト」の実態

まず、最近よく見られる「M&A一括見積もりサイト」の実態について解説しましょう。

一括見積もりサイトのシステムは?

Web検索で「M&A 一括見積もり」「M&A マッチング」などと検索すると、たくさんの「M&A一括見積もりサイト」が出てきます。

その基本的なシステムは、次のとおりです。

①売り手企業が企業情報を登録
②複数のM&A会社に一括見積もりを依頼する
③集まった応募企業のなかから業者を選ぶ
④業者と契約し、M&Aを仲介してもらう

M&A一括見積もりサイトを使ってはいけない理由

とても便利そうに思えるシステムですが、なぜ、M&Aにおいて一括見積もりサイトを使用すべきではないのか。

その理由を一つずつ見ていきましょう。

理由①情報漏洩のリスクが高い!!!

M&A一括見積もりサイトで集まる業者の質は、非常にまちまちです。

自分の会社の情報を安易にサイトに登録し、どこまでが公開されるのかが分からぬまま、必要情報をサイトの誘導に従い入力してしまうわけです。M&A業者とは個別に契約することなく、「会社を売りたい」という情報を教えることになります。

そのM&A業者のコンプライアンス遵守の状況や代表者、担当者と話をすることなく、情報開示は極めて危険です。そのM&A業者が別の業者へ情報を漏らしているという噂も聞きます。

近年では多くの異業種がM&A業界に参入していますが、なかには、M&A仲介の実績がまったくないのにM&A仲介会社を名乗っている会社も存在します。

結果的に料金の安さだけで契約すると、M&Aがまとまらずに費用と時間をムダにしてしまう危険性が高いのです。

理由②やり取りが煩雑で手間が取られる!

M&Aの打ち合わせは、慎重な姿勢を要するもので、多くの時間と回数を必要とします。

したがって、業者選定の段階で面談する会社が多ければ、それだけ膨大な手間と時間がかかってしまいます。

経営者には当然本業がありますから、M&Aの仲介会社探しだけで貴重な時間を割かれてしまうのは、あまり得策とはいえません。

理由③予定外の手数料などを取られる危険がある!

M&A仲介会社は、会社によって料金体系がバラバラです。

着手手数料がかかる会社、中間手数料がかかる会社、成功報酬だけの会社……と、他業種に比べると会社ごとの報酬体系が非常に異なり、混乱するかもしれません。

面談によってフィーが発生することを知らずに打ち合わせを行ない、想定外の手数料を請求されたケースもあります。

M&Aの一括見積もりサイトを使わずに業者を探す方法

それでは、一括見積もりサイトを使わずによいパートナーを選ぶには、どうすればよいのでしょうか?

「地元に強い」業者を選ぶ!

業者探しの方法としては、次のような手段があります。

・営業をかけてくる業者から選ぶ
・ネットで検索する
・税理士などに紹介してもらう
・地元の引継ぎ支援センターに相談する

いずれの方法にも、業者の質を判断することが難しいという問題がありますが、ここで重視すべきは、売りたい会社の地元にあるM&A会社を選ぶことです。

地元密着型のM&A会社は、地域の経済事情を深く理解していますし、地元の各種専門家とネットワークを築いているものです。

大手のM&A仲介会社だから安心というわけでは決してなく、地元で実績を築いてきた中規模のM&A会社のほうが、結果として優れている場合が多々あります。

M&Aを考えるなら、地元の業者から2〜3社ピックアップし、実績などをヒアリングしたうえで、親身になってくれそうな会社を選ぶのがよいでしょう。

まとめ

実際、M&Aのアドバイザリーに携わる当社の感想からいっても、一括見積もりサイトでよいマッチングをしたケースはほとんどありません。

一括見積もりサイトは多額の費用をかけて検索に引っかかりやすくしていて目につきますが、本気でM&Aを考えるのであれば、使わないことをおすすめします。

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著者

小川 潤也

株式会社絆コーポレーション
代表取締役

1975年新潟県新潟市(旧巻町)生まれ。株式会社絆コーポレーション代表取締役社長。大学卒業後、株式会社富士銀行(現・みずほ銀行)入行。法人担当として融資、事業再生、M&Aなどの総合金融サービスを手がける。2004年、医療介護の人材サービスを手がける株式会社ケアスタッフの代表取締役に就任。また銀行勤務時代に培った新規取引先の開拓やM&Aでの経験を生かし、地方都市の後継者不在、事業承継ニーズに応えるべく、株式会社絆コーポレーションを設立。M&Aアドバイザリー事業、スペシャリストの人材紹介事業を展開。著書に『継がない子、残したい親のM&A戦略』(幻冬舎)がある。
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