ローカルM&Aマガジン

大手は全く相談に乗ってくれない?M&A仲介会社の闇とは

投稿日:2020年2月27日

[著]:小川 潤也

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会社や事業の売却を考える際、まずは仲介会社やFA(ファイナンシャル・アドバイザー)会社などのM&A業者に相談することになります。

ここで誰に相談するのかが非常に重要です。M&Aは決して簡単に成約するようなものではありません。正しくパートナーを選ばなければ売却が成立しないだけでなく、あなたの会社にとんでもない不利益をもたらす危険すらあるのです。

本記事では、中小企業で特に多い、大手M&A仲介会社に依頼して後悔するケースについてまとめました。

M&A仲介会社は契約しただけで多額のお金がかかる

M&A仲介会社

M&Aを思い立った際、有名だからといって安易に大手に決めてしまい、後から後悔することになる経営者が大勢います。大手M&A仲介会社にM&Aの仲介を依頼した場合、着手金と成功報酬の2種類のフィーが発生します。

着手金は100万から300万円程度です。仲介契約を締結し、M&Aを依頼したときに発生します。

成功報酬は、対象会社の総資産の5%。例えば、株式譲渡金額3億円、総資産5億円の会社の場合、5億円×5%で2500万円です。

ちなみに当社は株式譲渡金額の5%が成功報酬なので、この場合は1500万円になります。この成功報酬は総資産ベースなのか、譲渡代金ベースなのかによって大きく異なります。総資産ベースの場合、不動産や借入金などが多ければ手数料が高くなってしまうので、注意が必要です。

まとめると、大手M&A仲介会社のスキームでは、もしM&Aが成立したとしても、中小企業にとっては高額な出費がかかってしまうのです。

また、注意したいのは、着手金として支払ったお金はM&Aが成約しなくても返ってこないことです。

ただでさえ資金繰りが苦しいのに、後から業者を代えて追加でお金がかかったり、結局M&Aを断念することになったりしてしまえば、さらに費用が発生してしまいます。

ちなみに当社では、契約前の費用が一切かからない完全成功報酬型でM&Aをサポートしています。

また、M&Aの売却価格によって料率が下がる、レーマンテーブル方式(5%から始まり、段階的1%づつ料率が下がっていくこと)をご用意しており、中小企業にとっては結果的に大手仲介会社よりも安価でM&Aをサポートできるケースが多くなっています。

大手M&A仲介会社は売り手の側に寄り添ってはくれない

大手M&A仲介会社

お金の面以上に注意しておきたいのが、大手M&A仲介会社はあくまでも買い手と売り手の中立の立場で案件に取り組むということです。つまり、売り手の側に立って売買価格を最大限に高めるようなアドバイスをしてくれたり、売り手企業の経営状況に合った売買スキームを提案してくれたりすることは期待できません。

結果、売り手にとっては安値といえる売却価格で交渉が進んでしまうケースが多く、案件が破談になりがちなのが現実なのです。

大手M&A仲介会社は例えM&Aが成立しないとしても、多額の着手金が入るので懐が痛むことはありません。

要は、売れる見込みがなくとも仲介契約をしてしまえばとりあえず着手金が稼げるのです。着手金目当てで契約を結ぶケースもあると聞きます。

売り手企業としては、お金を払って依頼しているのだから様々なサポートをしてもらえると期待するのが当然の感覚でしょうが、大手M&A仲介会社への依頼では期待外れになったという経営者の声がしばしば聞かれます。

大手M&A仲介会社のホンネとは

大手M&A仲介会社

当社が数多くのM&A案件に関わる中で、大手M&A仲介会社の担当者には基本的に「大きく手数料が稼げるいい案件、すなわち買い手が喜んで買ってもらえる案件に注力したい」という本音が見え隠れしていると感じます。

大手のM&A仲介会社であればあるほど多数のM&A案件が舞い込んでくるので、スムーズに成約しそうな案件に注力して数を稼いでしまえば、彼らとしては十分に儲かってしまうのです。

結果、売り手企業に多額の借入金があって売却先探しが難しそうなケースや、複雑なスキームを構築する必要がある案件は彼らの優先順位からは外れます。
要は面倒くさいのです。

しかし、前述のとおり大手M&A仲介会社は契約するだけで着手金をしっかり取ります。売り手企業からすると、着手金だけ毟り取られて後はほったらかしにされた、と感じざるを得ないケースが大量発生しているのです。

まとめ

中小企業のM&Aの場合、安易に大手に相談してすぐ契約を結んでしまうのは絶対に避けるべきです。

セカンドオピニオンとして複数の会社に相談するのも良いですが、最善なのは自分の会社をどのようにして、引き継いでもらい、いくら、どのような形で創業者利益を享受できるのか、を親身に相談にのって、方法を提案してくれる、M&Aアドバイザー会社を探して契約することでしょう。

もちろん、フィーがいくらかかるのか、成功報酬か、着手金があるのか、ないのかも確認したいところです。

借入金が多い中小企業のM&Aでは特に、特殊なスキームを構築することで初めて売却が成り立つケースが多いものです。売り手の立場に立ってくれる有能なパートナーを選定しましょう。

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著者

小川 潤也

株式会社絆コーポレーション
代表取締役

1975年新潟県新潟市(旧巻町)生まれ。株式会社絆コーポレーション代表取締役社長。大学卒業後、株式会社富士銀行(現・みずほ銀行)入行。法人担当として融資、事業再生、M&Aなどの総合金融サービスを手がける。2004年、医療介護の人材サービスを手がける株式会社ケアスタッフの代表取締役に就任。また銀行勤務時代に培った新規取引先の開拓やM&Aでの経験を生かし、地方都市の後継者不在、事業承継ニーズに応えるべく、株式会社絆コーポレーションを設立。M&Aアドバイザリー事業、スペシャリストの人材紹介事業を展開。著書に『継がない子、残したい親のM&A戦略』(幻冬舎)がある。
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