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株式分散がM&Aにもたらす意外なデメリットとは?

2022.02.15
[著]:小川 潤也
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「株式分散」という言葉をご存じでしょうか?

非上場で中小規模のオーナー企業でも、意外に多くの株主がいることがあります。

株主が多いと、M&Aによる事業承継を検討する際に、思わぬハードルとなることも……。

今回の記事では、企業の株式分散の実態と、M&Aにおけるデメリットについて解説します。

株式分散とはどういうこと?

まず、株式分散について説明しましょう。

オーナー企業なのに株主がたくさん!?

株式分散とは、企業の株式を複数の人物が保有している状態を指します。

非上場の中小企業は基本的にオーナー企業なので、オーナーが100%株式を保有していると思われがち。

しかし、中小企業でも株主が10人近くもいる会社があるのです。

なぜ、中小企業で株式分散が起こるのか

中小企業の株式分散は、次のような経緯が考えられます。

① 相続で株式が拡散

2代目、3代目社長の場合、先代が亡くなった際に、株式が親族に分散している可能性があります。

②社長が配ってしまう

長年継続している会社の場合、経営者が株式を親族や取引先などに少しずつ配っていることがあります。

株式の譲渡は、「お礼」の意味合いで行なわれることが多く、「過去にお金を融通してもらった」「長年取引して経営を支えてくれた」といった理由で、身内以外にも株主が多くいるパターンが散見されます。また、非上場企業の株式は勝手には売れないので、もらった方も実は換金できない株式となり、そんなに意識してない人が多いです。

株式分散はM&Aにどう影響するのか

M&Aを検討する際、株式分散は思わぬデメリットをもたらします。

その理由を説明しましょう。

少数株主の存在は買い手企業に嫌がられる!

まず伝えたいのは、「株式が分散しているとM&Aの買い手企業から嫌がられる」ということです。多くの場合は買い手側が株式を集めた上での譲り受けが条件となります。

例外もあります。1人が90%以上の株式を所有している場合は、他の10%の株式を複数人が所有していても、スクイーズ・アウトという手法が使えます。

どういうことかといいますと、10%未満の株式を買い取る権利が90%以上保有する株主にあるので、時間と手間はかかりますが、実質100%にすることができます。

その際、たとえ一株しか持っていなくても、公告された株価で1株を現金化することになります。だから、1株でも株式の価値は意外に大きいものです。

ですので、売主の株式保有割合が90%以下の場合は少数株主から買い取った上でM&Aすることを買い手からは求められるのです。

また、株主の権利というと財務諸表といった重要書類の閲覧権限をはじめ、株主総会への出席する権利があります。

株主総会では議案を決議します。ほとんどの議案は過半数で決議されます。過半数あれば取締の選任も可能です。そして、取締会の半数を支配するということは代表も選任できますし、実質、経営できることになります。

また、3分の2以上保有すれば株主総会で特別決議も思い通りに決議することが可能となります。ということは3分の1以上を持つ株主は特別決議に反対できるということです。

株式集めはとても大変!

M&A準備中の経営者は、株式を集約するために奔走することになります。しかも、株式集約の作業は非常に煩雑。

まず、複数人いる株主全員と会って話ができるかどうかという点があります。

親族であれば連絡をとって会うのは容易ですが、他人の場合だと、縁が切れている可能性も……。株式を持つ人が亡くなって、相続が発生しているとさらに面倒です。

連絡先のたどり方すらわからない少数株主の存在に気づき、頭を抱える経営者は少なくありません。

過去には株主が30人を超える会社のM&Aをお手伝いしたことがありました。その際はまさに株主との連絡をとることから始め、オーナーは1ヶ月間その買い集めに忙殺されておられたようです。

幸い少数株主全員に株式集約を納得してもらえても、次に問題となるのは費用です。

株式の集約は、譲渡か贈与の二つです。

譲渡であれば譲渡代金をいくらにするのか。これが問題になります。

設立当初に出資してもらったのであれば、会社も成長し、それなりの株式評価になっていることがほとんどです。提示する金額によっては今後の相手との関係性にも影響を及ぼします。税理士に株式評価をしてもらい、客観的なデータを元に譲渡価格を提示するのがいいでしょう。

また、贈与してもらう場合は株式評価額が110万円を超えるものであれば110万円を超えたもの分に対して贈与税が発生します。

中小企業の経営者は「うちの株式なんかに価値はない」と高をくくっているかもしれません。しかし、M&Aによる売却が現実的になるような業績好調の企業なら、株価は思った以上に高額になっている可能性もあります。

株式集約によって何千万円、何億円といった出費が発生することを知り、M&Aが頓挫する……といった悲劇もありえるのです。

まとめ

経営者にとってさほど気にしていない少数株主は、買い手企業からすれば非常に危険に感じるものです。M&Aを検討するのであれば、株式分散について事前に解決してからディールに臨んでください。

焦って対策したことが原因で株主と関係がこじれると、M&Aが失敗するかもしれません。

事業承継を意識しはじめた段階で株式を集約し、社長が100%オーナーになるよう準備しておくのが安全です。

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小川 潤也

株式会社絆コーポレーション
代表取締役

1975年新潟県新潟市(旧巻町)生まれ。株式会社絆コーポレーション代表取締役社長。大学卒業後、株式会社富士銀行(現・みずほ銀行)入行。法人担当として融資、事業再生、M&Aなどの総合金融サービスを手がける。2004年、医療介護の人材サービスを手がける株式会社ケアスタッフの代表取締役に就任。また銀行勤務時代に培った新規取引先の開拓やM&Aでの経験を生かし、地方都市の後継者不在、事業承継ニーズに応えるべく、株式会社絆コーポレーションを設立。M&Aアドバイザリー事業、スペシャリストの人材紹介事業を展開。著書に『継がない子、残したい親のM&A戦略』(幻冬舎)がある。

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