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贈与税・相続税をゼロにできる!? 事業承継にかかる税金を解説

投稿日:2021年7月13日

[著]:小川 潤也

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オーナー企業の事業承継において、自社株の移転は大きなハードルとなります。

創業当初はほんのわずかな出資からスタートした会社でも、好業績が続けば時価総額が数億円から数十億円になるケースは珍しくありません。

そうして評価額の上がった株式を移転すれば、多額の税金がかかってしまいます。

今回は、事業承継にかかってくる税金についての基礎知識と、納税額を少なく抑えるコツを紹介します。

株式移転の方法とかかる税金

まずは、株式を移転するスキームと、発生する税金を見てみましょう。

相続では相続税が発生!

1つめの株式移転方法は、相続です。

現金預金や不動産などと同様に自社株も個人の相続財産に含まれ、保有者が死亡すれば相続が発生します。

この方式では、株式を受け取った側に相続税が課せられます。

贈与では贈与税が課せられる!

2つめの方法は、無償での生前贈与です。

株式を贈与した場合、その評価額に応じ、受け取り手は贈与税を支払わなければいけません。

相続と贈与における税率など、詳細は下記のサイトに記載されています。
参考にしてみてください。

参考:国税庁「相続税と贈与税」

譲渡では譲渡所得税が生じる!

3つめの手段は、譲渡です。

譲渡とは、事業承継で後任になる人に有償で株式を売却すること。

先代経営者は売却代金を受け取るので、この譲渡所得に対して譲渡所得税が課せられます。

譲渡所得税についても、税率などの詳細は国税庁のウェブサイトを参照するのが正確ですので、ぜひご参照ください。

参考:国税庁「株式を譲渡したときの課税」

税金負担は軽減できるのか?

株式移転の3つの方法に対して、上記の税金がそれぞれかかるわけですが、気になるのは税負担の軽減は可能かどうかという点。

事業承継にかかる税金負担を軽減するポイントを解説しましょう。

事業承継税制の活用で贈与税をゼロに

「相続」「贈与」「譲渡」という3つの株式移転手法のなかで、最も税金負担が重くなりやすいのは、贈与。なぜなら、贈与税は累進課税率が高いためです。

そこで知っておきたいのが、「事業承継税制」。

事業承継税制とは、事業の引き継ぎに伴って株式を贈与する場合に特別に適用される税制で、活用できれば贈与税がゼロになります。

税制の適用が認められれば、事業承継にかかる税金の問題が一気に解決されるのですから、経営者として知っておかない手はありません。

事業承継税制が適用される条件は?

事業承継税制が適用されるには、いくつかの条件があります。

先代経営者・後継者ともに、下記の条件を満たす必要があります。


〈先代経営者の要件〉

・承継の対象となる会社で「代表者」であった
・贈与が実行されるときまでに代表を退く
・贈与実行直前の時点で先代経営者と親族等が持つ株式が発行済議決権株式総数の50%以上であり、なおかつ先代経営者が筆頭株主である
・保有株式をすべて一括で贈与する


〈後継者の要件〉

・事業承継によって「代表者」に就任する
・役員に就任して3年以上経過しており、20歳以上である
・贈与を受けた後、後継者と親族等で発行済議決権株式総数の50%を保有し、かつ後継者が筆頭株主になる

「特例承継計画」の提出が必要

さらに、事業承継税制の適用を受けるためには、会計事務所など国の認定支援機関の助言を受けて「特例承継計画」を提出し、承認を受けなければなりません。

承継計画には先代経営者と後継者の氏名等にくわえ、事業承継の予定期間やその間の経営計画、承継後5年間の経営計画などを記載する必要があります。

ここで注意すべきは、事業承継税制の適用を受けて事業承継を実行した後でも、状況の変化などで制度の欠格事由に該当すれば、猶予された税金を納めなければならなくなってしまう点。

無条件で贈与税が控除される制度ではないことは、理解しておいてください。

まとめ

事業承継税制は、事業承継における税金の悩みを解決しうる最強のツールとなりえます。

劇的な効果が期待できますが、初めて制度を使う経営者にとっては、適用条件などの理解が難しい面もあります。

資本政策に詳しい専門家に相談しながら制度を活用しましょう。

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著者

小川 潤也

株式会社絆コーポレーション
代表取締役

1975年新潟県新潟市(旧巻町)生まれ。株式会社絆コーポレーション代表取締役社長。大学卒業後、株式会社富士銀行(現・みずほ銀行)入行。法人担当として融資、事業再生、M&Aなどの総合金融サービスを手がける。2004年、医療介護の人材サービスを手がける株式会社ケアスタッフの代表取締役に就任。また銀行勤務時代に培った新規取引先の開拓やM&Aでの経験を生かし、地方都市の後継者不在、事業承継ニーズに応えるべく、株式会社絆コーポレーションを設立。M&Aアドバイザリー事業、スペシャリストの人材紹介事業を展開。著書に『継がない子、残したい親のM&A戦略』(幻冬舎)がある。
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