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M&A手数料の真実!仲介会社の選び方のポイントも徹底解説

[著]:小川 潤也

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M&Aにおける仲介手数料は、売り手と買い手の間で議論の的となります。

しかし、手数料にはさまざまな要素が絡み合い、単純に「高い」または「安い」とは一概に言えません。

本記事では、M&Aにおける手数料の真実を明らかにし、仲介会社を選ぶ際のポイントについて解説します。

M&A手数料の種類

M&Aを行なう際にはさまざまな手数料がかかります。ただし、手数料の種類によって相場が違い、かかる手数料によっては想定以上のコストがかかることもあります。

まずは、M&A業界における手数料の種類について解説していきましょう。

1. 着手金

着手金とは、M&A取引がスタートする際、仲介会社に支払う金額です。この着手金の有無が、多くの売り手にとって懸念事項となります。

近年、M&Aの仲介事業者が増えており、その多くは着手金なしで支援をしています。

ただし、その中には経験不足の会社も存在し、結果的にそこにM&Aを依頼しても良い買い手が見つかるわけではないという落とし穴もあります。着手金なしを契約締結の決め手にした結果、蓋を開けると成功報酬額が高いという話はよく聞きます。大手や大手を独立して数人で始めた仲介業者はおかしなくらい高いというのは珍しくありません。

ちなみに着手金を取るのは、大手の仲介会社や銀行が中心です。

2. リテイナーフィー

リテイナーフィーとは、M&A取引の途中で売り手が支払う月額報酬の定額手数料です。仲介契約合意後のサポートや、提案を受ける際に発生します。

リテイナーフィーの注意点は、契約期間中は毎月発生するため、M&Aの成立が遅れれば遅れるほど費用負担が増えることです。

とはいえ、リテイナーフィーを取るのは、主に大手コンサルタント会社やメガバンク、証券会社のため、一般的にはあまり発生するものではありません。

3. 中間報酬(中間金)

中間報酬とは、仲介契約合意から最終取引までの間に支払われる報酬で、M&Aのプロセスがある程度進行したときに支払います。

中小企業向けの仲介業者ではあまり見られませんが、上場企業など大規模案件では、中間報酬を要求されることがあります。中間報酬は、無料の場合、100万円程度の固定報酬の場合、成功報酬の10%〜20%程度が発生する場合と3つのパターンが存在します。

会社の規模やディールの内容によって、取引金額が変わるため、中間報酬が発生する場合は何社か比較するなどして注意しましょう。

4. 成功報酬

M&Aが成立した際、売り手に支払われる報酬です。

成功報酬は売買金額に基づいて計算され、その設定は仲介会社ごとに異なります。

一般的には、M&Aの金額を元にレーマンテーブル(方式)という計算方法で算出されますが、会社の規模によって買収の金額が異なります。

譲渡対価の5%というのであれば、相場です。これが、譲渡対価でなく、対象会社の総資産の5%という算出する業者もあります。これは業界では移動総資産レーマンと呼ばれ、手数料を高くしようとする、業者が考え出したようです。そうしますと譲渡対価が1億円でも借り入れが1億あって、総資産が3億であれば、3億に対して5%となります。譲渡対価と総資産で同じレーマン方式でも大きな違いがでてきます。

また、最低手数料が定められており、低いところは数百万円、高いところは2000万円と譲渡対価が4億円を超える案件ではないと、手数料としては割高な気がします。契約をする前に、ここは確認することをお勧めします。

手数料の見極めポイント

手数料だけで仲介会社を選ぶのは危険です。次に、適切な仲介会社を選ぶ際のポイントを解説しましょう。

1. 会社の実績

手数料だけでなく、仲介会社の実績を重要視しましょう。やはり、実績が豊富で信頼性のある会社が、取引の成功につながる可能性が高いです。

昨今、大手のM&A会社から独立した仲介業者が乱立しており、実績がほとんどない会社もあります。ノーアポで飛び込み営業するような会社もあり、このような実績のない仲介業者を利用するのは得策ではありません。

2. 他社との比較

複数のM&A仲介会社を比較検討しましょう。

手数料設定だけでなく、リテイナーフィーや中間報酬、成功報酬の設定も含めて、総合的にみて判断することが重要です。

3. 最低報酬費用のチェック

成功報酬の設定は仲介会社ごとに異なります。成功報酬の説明でもしましたが、最低手数料の金額を確認し、自社の売買価格に合った会社を選びましょう。

4. 地域差異の認識

地方と首都圏では、手数料の価格設定に差異があります。

近年では、新潟県をはじめとした地方でのM&Aも増えています。ただし、首都圏の価格設定よりも地方のM&A仲介会社の方が手数料が安いケースが多いのです。そのため、首都圏の大手ばかりを信頼するのではなく、地方に特化したM&A仲介会社も比較検討の対象にすることをおすすめします。

5. 専門家の価値

手数料の種類はさまざまですが、手数料を支払うことで専門家が提供するサービスを受けることができるといえます。

自分だけでM&Aを完結させるのは困難ですし、M&A仲介会社はM&A成立のためにあらゆる資料の作成や価格算定などの価値を提供しています。そのため、手数料に見合う価値があるかどうか、どのようなサポートをしてくれるかを確認して判断しましょう。

まとめ

このようにM&A取引における手数料は、さまざまな取り決めや算出方法による複雑なものです。だからこそ、M&Aを依頼する際には、手数料を見極めるなど慎重な検討が必要です。

今回ご紹介したような注意点を踏まえて、M&A取引の成功のために、慎重な仲介会社の選定を心がけましょう。

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著者

小川 潤也

株式会社絆コーポレーション
代表取締役

1975年新潟県新潟市(旧巻町)生まれ。株式会社絆コーポレーション代表取締役社長。大学卒業後、株式会社富士銀行(現・みずほ銀行)入行。法人担当として融資、事業再生、M&Aなどの総合金融サービスを手がける。2004年、医療介護の人材サービスを手がける株式会社ケアスタッフの代表取締役に就任。また銀行勤務時代に培った新規取引先の開拓やM&Aでの経験を生かし、地方都市の後継者不在、事業承継ニーズに応えるべく、株式会社絆コーポレーションを設立。M&Aアドバイザリー事業、スペシャリストの人材紹介事業を展開。著書に『継がない子、残したい親のM&A戦略』(幻冬舎)がある。
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