問題が山積み!? 社長の代替わり後に業績悪化する会社の特徴

社長の代替わりを無事に成功させるため、事業承継後に伸び悩む会社の特徴と、承継を成功させるポイントを解説します。
事業承継後に生じやすい課題
経営を引き継いだ後に成長しない会社の多くは、次の5つの課題を抱えています。
課題① 従業員が後継社長についてきてくれない
後継社長のもとで社員が団結しておらず、ついてこない……。事業継承において非常によく見られるケースです。
特に、先代社長が創業社長である場合には、従業員は先代社長に忠誠を誓って会社に所属しているケースが多いようです。
長年勤務してきて経験豊富な従業員たちは、「自分たちが今の会社のあり方を築きあげた!」という高い自負を持っています。そのため、いわば「新参者」である後継社長に素直についてきてくれるとは限りません。
従業員が新社長に対しておもしろくない気持ちを抱いている状態では、承継後の成長など望めるはずもないのです。また、突然、古参社員が退職することもあります。
課題② 従業員が自発的に動いてくれない
前任のオーナー社長がワンマンである場合、従業員が経営者の指示に振り回されて仕事することが習慣化している例が散見されます。
すなわち、前社長への忠誠心が強いために「指示を遂行する力」はあれど、「自分で判断して動く」という重要な能力が育っていないのです。これは組織を一見しただけではわかりづらいですが、非常に根の深い問題です。社員が自発的に動いてくれなければ、会社の長期的な発展は望めません。
社長の代替わりをきっかけとして会社を成長軌道に乗せるためには、従業員たちが自発的に行動し、それぞれに成果を出すような体制づくりが不可欠です。
課題③前社長との役割分担がうまくいっていない
前社長が引退したにもかかわらず、社内を闊歩して引き続き影響力を発揮していたり、後継社長に細かく口を出したり……。これも、承継後に成長しない会社によくあるケースの一つ。
前社長の実質的な院政によって、後継者が立場をなくし、自分の力を発揮できなくなってしまう。結果として、従業員も誰についていけばいいのかわからず、社内が混乱してしまうのです。
「前社長の院政」という問題は、後継社長からのアプローチではなかなか解決しにくい問題です。ただし、事業承継してしばらくは前社長に細かく会社の状況を報告するなどして、前社長に安心して引退してもらえるように後継者が努力することで、状況が改善する場合もあります。
課題④新社長の方針が社内に伝わっていない
新社長が着任してしばらく経っても、自らの経営方針を社内に徹底しておらず、リーダーシップを発揮できていないという状況が、事業承継後の会社にしばしば見られます。
承継後の経営は、前社長時代と比べられる機会がなにかと多くなります。時には、社員に方針を伝える際に、あえて前社長に出てきてもらって賛同を示してもらう、といった工夫をするのも一つの手です。
もちろん、前社長に「おんぶに抱っこ」のような状態をいつまでも続けるのは、当然NGです。部下である社員としては、そんな社長についていく気は起こりません。
課題⑤会社を無理に大きく変革しようとしている
熱意に燃える新社長が就任すると、「前社長の方針はすべてダメだ」と言わんばかりに、大きな変革を試みることがあります。
承継後の変革によって会社が業績を伸ばすケースももちろんありますが、ここで気をつけるべきポイントは、「めざす変革が自社の風土や文化、仕組みに合った進め方になっているか」ということです。
「新しいリーダーとして、決断力をアピールしたい!」というねらいがあるのかもしれませんが、変革が失敗に終わっては元も子もありません。古株社員への相談など、変革にかかる下準備をしっかり行なったうえで取り組むことが必要です。
まとめ
事業承継後に伸び悩んだり業績が悪化したりする会社に共通する5つの特徴を解説しました。
後継社長が経営の引き継ぎを成功させるポイントは、リーダーシップを積極的に発揮しながらも、前社長や従業員の認識・心理状態に細かく気を配り、臨機応変に手を打つことです。
経営者としての大胆さと繊細さを両立させ、事業承継を乗り切りましょう。

