ローカルM&Aマガジン

体験談・新型コロナウイルスに負けずにM&Aを成功!

投稿日:2022年2月22日

[著]:小川 潤也

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コロナ禍でも、M&Aに成功した会社はあります。

今回お話をうかがったのは、M&Aの検討を始めた途端にコロナ蔓延に直撃されながらも、見事に事業売却に成功した、株式会社イコアインキュベーション社長の紺野真理(こんの・しんり)氏。

人材開発をメイン事業とする同社がどのようにM&Aを成功させたのか、その一部始終に迫ります。

後継者準備は万全のはずが……?

――事業承継を考えたとき、当初からM&Aの選択肢はありましたか?

まったくありませんでした。というのも、もともと私の会社は後継者が決まっていたんですね。

後継社長候補と彼をサポートしてくれる女性スタッフが一人いて、彼らは経営を引き継ぐ意志をしっかり固めているようでしたので、事業承継に関してはまったく問題ないと思っていました。

ところが、後継社長候補にどうしようもない事情ができ、急に退職することになったんです。

他の後継者候補といっても社内に適した人材はおらず、がっくりしてしまいましたよ。

――それは予想外でしたね。その後、どうされたんですか?

まず、私の会社の監査役をやってくれている会計士に相談しました。

すると「M&Aという選択肢もありますよ」とアドバイスをくれて、絆コーポレーションの小川社長を紹介してくました。

M&Aについては聞いたことはありましたが、自分がやることになるとは思ってもみなかったので、いざ我が身となって右も左もわからない状態です。

しかし、すでに退く決意を立てていたので、なんとしてでも承継したい。とりあえず話だけ聞いてみるかと思って、小川社長にお会いしました。

――その後はスムーズにM&Aが進みましたか?

それが、そうでもなかったんですよ。小川さんにお会いしたのは2020年の春くらいでしたが、ちょうど新型コロナウイルスが蔓延しはじめた頃でした。

当社は人材開発事業をやっていますから、3月と4月の研修シーズンがかき入れどき。

でも、コロナ禍で研修生が集まることができなくなり、売り上げが全部飛んでしまって……。

小川さんはすぐに買い手候補を4、5社紹介してくれて、いくつかの会社と面談を進めていましたが、コロナによる業績不振でM&Aを躊躇する会社が出てきました。

小川さんはそのつど励ましてくれましたけど、焦りはありましたし、先が不安になりましたね。

およそ1年でM&Aに成功!

――それでも、最終的にはM&Aを実現されたのですね。

それが、こうした状況でも当社にM&Aの意欲を持ちつづけてくれた会社が数社あり、その中で本命の候補先があって、最終的にはその会社に決めました。

コロナによって打撃を受けたにせよ、私の会社は業績好調が続いていて、それまで4期連続で黒字でしたから、その点を買い手企業は評価してくれたようです。

――売却の話がまとまったのは同業の会社ですか?

扱うのが人材という点では共通していますが、相手先の主軸は人材開発ではなく人材紹介。エリアも離れていて、北関東を本社とする会社です。

人材開発会社の当社と同業ではない点が、逆にシナジーに繋がりましたね。

買い手になった会社の社長さんいわく、長らく人材紹介業をやってきたなかで、お客さまから「紹介してくれた人材をどう教育すればいい?」という相談が多かったそうです。

それに応えるために、他社を紹介せざるを得ない状況が歯がゆくて、人材開発事業を自社に持つのは悲願だったと言っていました。

――同業ではなくても、近い業界であったことがメリットにつながった?

そのとおりです。あとは、地域や取引先についてもシナジーがありましたよ。

私の会社は、東京を中心に長く事業をやってきましたが、他地域進出にも関心がありました。ですので、北関東というまったく土地勘がないエリアの会社という点も魅力的でしたね。

さらに、私の会社は8割が大企業のクライアントなのに対し、買い手の会社は中小企業のお客さまが中心でした。

そんなわけで、M&Aでコラボするとおもしろいことになりそうだと、買い手企業の社長さんと意気投合しました。

結果として、M&Aの検討をはじめてから1年ぐらいで事業譲渡が完了しました。

――最後に、M&Aを検討する経営者にアドバイスはありますか?

間に入ってくれる人、つまりは会社が重要という一言につきると思います。

私の周りでもM&Aを経験した経営者がいますが、仲介会社やアドバイザリー会社に関しては、いい話と悪い話が半々というところです。

絆コーポレーションさんは成功報酬型で、失敗したらお金を請求されないというのも安心できました。

「もしかしたら失敗するかもしれないのに、ここまで頑張ってくれるんだ」と、信用できるように思いました。

M&Aもうまくいきましたし、責任感のあるすばらしい会社に仲介してもらえてよかったですね。

――後継者候補の離脱、コロナ禍による打撃という予期せぬ事態から、M&Aによって見事にリカバリーを成功させた紺野氏。遠隔地のM&Aに成功した、当社としても印象深いケースとなりました。

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著者

小川 潤也

株式会社絆コーポレーション
代表取締役

1975年新潟県新潟市(旧巻町)生まれ。株式会社絆コーポレーション代表取締役社長。大学卒業後、株式会社富士銀行(現・みずほ銀行)入行。法人担当として融資、事業再生、M&Aなどの総合金融サービスを手がける。2004年、医療介護の人材サービスを手がける株式会社ケアスタッフの代表取締役に就任。また銀行勤務時代に培った新規取引先の開拓やM&Aでの経験を生かし、地方都市の後継者不在、事業承継ニーズに応えるべく、株式会社絆コーポレーションを設立。M&Aアドバイザリー事業、スペシャリストの人材紹介事業を展開。著書に『継がない子、残したい親のM&A戦略』(幻冬舎)がある。
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