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2021.02.03

簿外債務

簿外債務とは帳簿、つまり貸借対照表に計上されていない負債のことです。簿外負債ともいわれます。簿外債務は決して珍しいものではなく、特に中小企業であれば意図的に簿外債務を発生させることも考えられます。

簿外債務の例

簿外債務の代表的なものとしては、デリバティブや保証に関わる「偶発債務」や、会計操作による「飛ばし」行為などがあります。また、「賞与引当金」「退職給付引当金」「債務保証損失引当金」「社会保険の未加入」「未払いの残業代」「リース債権」「回収見込みのない売掛金」「金融商品の含み損」などは、特に中小企業のM&A・会社引継ぎの際に簿外債務とみなされる可能性があるものです。

・偶発債務
偶発債務とは現時点では債務が発生していないが、将来、ある条件が成立した場合に会社の損失となる可能性のあるものをいいます。ある債務に対する保証行為(債務保証)をおこなっている場合や、会社がかかえる訴訟の損害賠償義務(訴訟リスク)などが偶発債務にあたります。

・飛ばし
飛ばしとは、企業が決算対策の為に含み損が発生している株式などの有価証券を、一時的に第三者へ簿価で売却し、含み損が決算書に載ることを避け、その後買い戻す行為です。粉飾決算とも見られ、現在は金融商品取引法で禁止されています。山一証券の不正はこの飛ばしの例として有名です。

簿外債務の発生原因

簿外債務や簿外負債が発生する理由の一つは、中小企業では「税務会計」と呼ばれる会計方式で決算書を作成することが多いという点です。税務会計では、企業の課税される所得額を算出します。企業側はもちろん納税額を減らしたいと考ますが、現時点で発生していない賞与引当金や債務保証等の債務は税務会計上、損金として算入されないため、あえて貸借対照表に計上しないケースが多いのです。

簿外債務の見つけ方とM&Aにおける注意点

M&Aにおける簿外債務の見つけ方は、デューデリジェンスの徹底です。M&Aにおける買い手は、仮に買収後に簿外債務が債務となった場合に返済の必要性がでてきます。そのようなリスクを回避するため、デューデリジェンスにおいては、経験豊富な弁護士や公認会計士等の専門家にアドバイザーを依頼することが重要になります。

その他のリスク回避方法としては、「表明保証」の設定です。M&Aの際にはデューデリジェンスを実施しますが、すべてのリスクの把握には限界があります。万が一デューデリジェンスで見つけられなかった簿外債務が買収後に発覚した場合にも、表明保証に明記をしておけば、賠償請求を行うことも可能になります。

M&Aにおいて簿外債務は大きな問題となる可能性があります。売り手側は事前に簿外債務を把握している場合には、買い手側にそれを伝えることも大切です。交渉の後半になってから簿外債務が見つかった場合には、譲渡価格が下げられるケースや、信頼を失いM&A自体が破談となるリスクもあります。

デューデリジェンス(DD)と同義。買収監査とは、買収対象の財務内容等の正確性等を確認するための譲受側による調査のこと。中小企業のM&Aにおいても、最終的な買収価格、買収条件の決定や買収の可否のため、実施されることが一般的となっており、事前に開示された資料や交渉を元に譲渡側と譲受側が基本合意した後、買収対象企業の事業リスク、財務状況、事前情報との照合等を調査する。事前には入手できなかった資料などを閲覧することにより、新たな情報または事実関係を入手・発見できるプロセスでもある。譲受人が、その対象となる企業の事業などが、想定する価値を有しているのか、将来的に価値を毀損させることはないのか、重大な偶発債務・簿外債務が存在する可能性はないのか、などを資料等をもとに精査することができる。買収監査によって重要事実などの発見がされると、最終契約へ反映がなされ、最悪の場合には、買収の中止といった措置がとられる。また、買収に進む場合には、最終契約への反映だけでなく、買収監査により買収後の経営方針の策定を行う事が可能になる。M&AのDDでは、事業・財務・法務・人事・システム・環境等対象会社の特性に応じて種々の調査が行われるようになってきている。買収監査は一般的に買主側が費用を負担して、外部の専門家に買収リスクの有無と程度を調査してもらうが、売主側のオーナー経営者が費用を負担して行うこともある。これをセルサイドデューデリジェンスという。セルサイドデューデリジェンスは、売却価値を最大化し、これを保護するために買主側が実施するデューデリジェンスと同様、外部の専門家に依頼して想定される提出資料の事前準備、質問事項の事前対応を売主側で行い、M&A成立まで円滑に進められるように対策をすることをいう。

敵対的買収対抗策のひとつの戦略で、敵対的買収を仕掛けられた企業が、逆に買収者に対して買収を仕掛けるという手法。ただし、このやり方は必要のない買収を行う点で既存株主の理解を得られるのか問題も残る。他には買収者が個人や未公開企業の場合にはまったく機能しないというデメリットも生じる。ポイズンピルやゴールデンパラシュート等の手法とは異なり、敵対的買収を仕掛けられた時点で対策し始める。また、買収者はパックマンディフェンスへの対応で疲弊してしまい、自らが第三者の買収の対象になる可能性も出てくる。したがって、パックマンディフェンスは双方にとって非常にリスクが高い防衛手法である。日本でパックマンディフェンスを実行する際には、敵対的買収者の全株式のうち25%超の取得を目指す。

パックマンディフェンスという名称の由来は、日本生まれの世界的人気ゲームが由来。パックマンディフェンスは、1980年代にアメリカで多用されていた買収防衛策で、その当時テレビゲーム「パックマン」が流行していた。買収相手を逆に買収する姿が、パックマンが敵を飲み込む姿に類似していたことが由来。

バリュエーションとは価値評価を総称するもの。株式や投資の価値計算や、事業の経済性評価のこと。主に資産運用(株式投資)やM&A、企業再編などに用いられ、投資実施の判断や、複数案件から最良な案件を選択するために行う。方法は多岐にわたり、コストアプローチ、インカムアプローチ、マーケットアプローチなどの複数の方法がある。

事業価値は、有形無形の事業資産等からなる事業そのものの価値であり、これに売却しても事業運営に支障のない短期的なキャッシュフローである非事業用資産の価値を加えた企業全体の価値が企業価値となる。ここから負債投資家の取り分を控除したものが株式価値となる。

M&Aにおいてバリュエーションが重要になる理由は、M&Aが、買い手は極力安く、売り手は極力高くと、相反する相手方との交渉を成立させる取引であるためである。つまり、売り手・買い手双方の思考を把握しながら相手側に一定の納得感を与える事が重要であり、M&Aでのバリュエーションは、自らの説明責任を果たせる範囲内で妥結に至るための価値を分析するためにも重要といえる。

ビジネスモデルを総合的な観点から評価すること。M&A対象会社の属する市場規模やその動向、競合環境やビジネスモデルの把握、事業性の評価等を調査し、買収の適否、シナジー効果の大小、買収後の統合戦略等を評価すること。譲受企業自身が行うことが多いが、大型の投資にもなると監査法人の専門セクションや大手経営コンサルティング会社が手がけることもある。

ビジネスDDとして下記の項目が挙げられますが、対象会社の属性や規模などによって大きな差異がある。

① マクロ環境分析:対象会社が重視している経済指標と業績との関連性を分析

② 競合構造分析:競合会社や代替品の状況、顧客との力関係などを分析

③ 事業構造分析:競争力の源泉となっていると考えられる項目を分析

④ スタンドアローン分析:親会社などに依存している機能を把握し、M&A後
の追加コスト等の可能性を分析

⑤ 事業計画分析:事業計画の前提条件を把握し、上記の状況や経営資源の制約
などとの整合性を分析

⑥ 統合イシュー分析:想定されるシナジーについての仮設を検証
         具体的なオペレーション上の課題を検証

CA(Confidentiality)やNDA(Non Disclosure Agreement)。秘密保持契約とは、一般に開示されていない情報を入手した人が、無断でその内容を第三者に伝えたり、目的外に使用を行わない旨を約束することを当事者間で交わす文書のことをいう。M&Aにおいては、M&Aを実施すること自体が秘密であることが多く、譲受企業の場合、譲渡企業の経営上の重要事項を知りえる立場にあり、情報漏えいはM&Aの不成立だけでなく、譲渡企業の存続に影響を与えることがあり、極めて重要な契約である。

通常、秘密保持契約書には次の内容を記載する。①情報の定義、②情報を開示する相手の範囲、③目的外使用の禁止、④除外事項、⑤有効期間、⑥その他

M&Aにおいて、DD(デューデリジェンス)で判明した事実について譲渡企業が譲受企業に対して真実であると表明して、譲受側が知りえなかった事実で譲渡後に判明した瑕疵について一定期間保証をすることをいう。現在のM&Aの実務では、譲渡企業が譲受側に対し、最終契約書内で対象会社の事業状況、財務状況等につきある程度、網羅的な表明保証を行うことが多くなってきている。表明保証の内容は、最終契約書の中における「表明保証条項」に記載される。以下のようなものが一般的である。

•デューデリジェンスで開示された情報に虚偽がないこと

•財務諸表、会計帳簿が正確に作成されていること

•買主に対して開示していない偶発債務が存在しないこと

•対象会社が、買主の把握していない訴訟を提起されていないこと など

これらの他にも、案件の性質によって重大な事実が盛り込まれることもある。

表明保証に違反した場合、一般には、相手方当事者に次の3つの効果がもたらされる。①前提条件が充足せず、クロージングする義務を負わない、②契約を解除できる、③補償請求を行うことができる。

M&Aの相手企業を探すこと示す業界用語。対象企業の戦略的ニーズを的確に把握し、業界分析や企業分析を行い、課題を摘出し、企業価値向上に寄与する買収提案を行うこと。

free cash flow 。FCと表記されることが多い。企業が本来の事業活動等によって生み出すキャッシュフロー。フリーキャッシュフローとは、会社の営業に関するキャッシュフローから、固定の資産等に投資するためのキャッシュフローを引いた部分を指す(FCF=税引後営業利益(NOPAT)+減価償却費-設備投資等±運転資本等の増減)。この場合のフリーは、企業が資金の提供者 (金融機関、社債権者、株主など) に対して自由 に分配できるという意味で、企業はフリーキャッシュフローを原資として、債権者への金利の支払いや債務の償還、株主への配当を行うことができる。ここに余裕がある会社は、まさに業績が良い会社と言える。フリーキャッシュフローの金額は企業そのものの評価を決めるのに重要視されることが多く、フリーキャッシュフローが伸びていない企業は注意が必要になる。フリーキャッシュフローはターミナルバリュー(継続価値)の計算にも用いられる。

民事再生手続を裁判所に申し立てる前に、スポンサー候補や事業譲渡先が決まっている場合の民事再生手続のことをいう。スポンサーが事前に決定していれば、スポンサーから支援表明やDIP(debtor in possession)ファイナンスを受けることが可能で、再生企業の信用を保全した状態で再建を実施することができる。申立て後は倒産イメージにより信用力や資産価値が日々毀損していくが、あらかじめスポンサーをつけておくことで信用が補完され、民事再生手続き開始の申立てによるマイナスイメージを払拭し、従業員および取引先の動揺を抑え、企業価値が毀損することを最小限に抑えることができる。多くの場合、大口債権者である銀行等の金融機関(メインバンク)が予め承諾し、場合によってはメインバンク主導でスポンサーや申立代理人となる弁護士の選定を進める場合も少なくない。プレパッケージ型が採られる場合、入札によらずにスポンサーを選定することも多いため、スポンサーの利益を重視するあまり、企業価値と比較して低額な資金しか提供しなかったような場合には、債権者が本来受けるべき配当を受けられないという危険性も含んでいる。民事再生法では、株主総会を得なくても事業譲渡や減資などができる手続も備えているため、再生計画後に迅速にそれら手続を行うことも可能。

会社分割で事業等を承継する会社が、その対価として株式等を会社分割する会社に、割り当てる形態の会社分割のことをいう。M&Aにおいては、分社型新設分割を行った上で、新設した会社の株式譲渡を行うという形態や、分社型吸収分割の対価として現金を受領するという形態などが用いられ、物的分割ともいう。

会社分割で事業等を承継する会社が、その対価として株式等を会社分割する会社の株主に割り当てられる形態の会社分割のことをいう。なお、会社法上は、分割を行う会社が承継する会社から得た株式等の対価を、株主に配当するという法律構成になっており、人的分割ともいい、同じである。新設法人に営業の全部又は一部を承継させるか(新設分割),既存の他の法人に営業の全部又は一部を承継させるか(吸収分割)で区分することができる。分割型新設分割をすると分割会社と新設会社には、何ら資本関係は生じず、いわば、兄弟のような関係になる。分割型吸収分割をすれば分割会社の株主が、承継会社の株主となる。

分割型分割の場合、分割法人の事業年度は継続するが、分社型分割では承継法人に移転する利益積立金の確定を必要とするため、分割法人の事業年度が分断されるという点に違いがある。

また、分割型分割は、新設分割であろうと吸収分割であろうと必ず、債権者保護手続きをする必要があるために、ある一定の期間(約3か月ぐらい)が必要。

株式市場が変化したとき、「任意の株式のリターンが何%変化するか」を表すもので、株式市場全体に対する相対的なリスクを表す相関係数のことをいう。ある銘柄の投資収益率の市場平均の収益率に対する感応度を表し、「市場感応度」とも言う。日経平均株価やTOPIXといった株価指数が1%動いたとき、個別銘柄が何%動くかを示したもので、ベータ値が大きいほどリターンの変動が激しいことを意味し、その株式のリスクが高いことを表す。一般にベータ値が1であれば、市場平均と同じ値動きをすることを示す。ベータ値が1.5の場合、市場が10%上昇するとその銘柄は15%上昇することを意味する。このため、指数との連動を目指すインデックスファンドでは、ベータ(β)値が1に近いほど、高く評価されることになる。ベータ値を活用することでそれぞれのリスクの許容範囲に応じた銘柄を選ぶことができるようになる。

計算式: β = 共分散(βを算出したい証券の期待収益率、市場全体の期待収益率) ÷ 分散(市場全体の期待収益率)

私的再生とは異なり、民事再生法や会社更生法など、法的手段を用いて裁判所の関与の下事業の再生を行うことをいう。いずれも弁護士に依頼するケースが多い。この再建型手続きの場合、一定割合の債権者が同意をして裁判所が認可すれば、債権者全員の同意を得ることができなくても、再建計画を成立させ事業の再生を図ることが可能。なお、破産等の清算型手続きの場合でも、事業譲渡等を組み合わせることにより対象事業の再生を狙うことがある。法的再生の手続に共通する特徴としては、裁判所が手続に介在するため、手続の透明性や公平性が担保され、債権者に対して法的拘束力を及ぼすことができる点がある。また、法的再生の場合は債権者を平等に扱うことができ、スケジュール通りに進んで行くという利点もある。

法的再生のマイナス面として考えられるものは、法的手続を行っていることが公になることでイメージ的にも経済的にも損なわれ、事業基盤が毀損するおそれがあることや、再建型の手続の場合には、予納金・弁護士費用等の負担があること等だ。

一定の所得を他の種類の所得と合算せず、分離して課税することをいう。総合課税に比べて適用される税率が低くなることがある。個人が株式、土地、建物を譲渡した場合や退職した場合などの所得を計算する際に適用される。分離課税が適用される所得は以下のものである。

・利子所得(源泉分離課税に該当しないもの)

・配当所得(源泉分離課税に該当しないもの)

・退職所得

・山林所得

・譲渡所得(株式・建物・土地など)

また、分離課税はさらに確定申告で本人が申告する「申告分離課税」と源泉徴収により自動的に納付される「源泉分離課税」の2種類に分けられる。

会社分割の一つで分社型分割とも呼ぶ。会社分割によって新設会社の株式又は既存会社の株式が発行されるが、発行された株式は分割を行った会社に割り当てられる形態の会社分割のこと。発行された株式を、分割を行った会社の株主に割り当てる分割を人的分割と呼ぶ。

旧商法では会社分割は、その種類として、物的分割と人的分割に分けられていた。会社法では、いったん物的分割により分割会社が取得した、その対価として承継会社・新設会社の株式を、分割会社が剰余金配当の手続等により分割会社の株主に配分するものとして再整理した。したがって、会社分割としては、物的分割しかなく、現物配当の形で分割会社の株主に交付する方法をとるかどうかの違いしかない。

例えばM&Aによる合併のケースなど、元にある会社から新設された会社に対して事業を継承する場合に、物的分割の方法が使用されることがある。とりわけ新設された会社の場合には、物的分割を採用すると元の会社の完全子会社になり、元の会社は分割した会社を効率的に活用することができる。

株式交換・合併・会社分割の際に税務上の適格要件を満たさない組織再編のまとめた言い方。適格に該当するための要件は、合併、分割など各組織再編の形式により異なるため、ケース毎に確認が必要となる。通常移転前後で当該資産・負債を支配している者は異なる。そのため、資産・負債の売買取引と同様に考えられるので、移転の際に清算(売却)していることを前提とし、税務上、譲渡損益を認識し課税の対象となる。非適格合併の場合、被合併法人の保有する資産・負債を時価で受入れる(一方、適格合併の場合は、資産・負債を簿価で引き継ぐ)。組織再編を行う上で適格・非適格の判断を誤ると、多額の損益が発生してしまうことが想定される為、税理士等の専門家に十分な確認、相談が必要となる。また、非適格合併、非適格分割型分割では「みなし配当」が発生することもある。

毒薬条項ともいう。もともとアメリカで使われていた用語。敵対的買収防衛策のひとつで、敵対的買収者が一定の議決権割合を取得した時点で、時価以下で新株を購入できる新株予約権(ライツ)を既存株主に対して予め発行しておく(もしくは敵対的買収が現れた場合にはそうすることを表明しておく)方法のこと。敵対的買収をかけられた場合に、時価以下で新株を発行することで買収者の持ち株比率及び株式価値を低下させるというもの。このような仕組みは「ライツプラン」ともいう。買収費用が多くかかるように見せかけ、予め敵対的買収者の買収意欲を削ぐ目的で導入されるまた、ポイズンピルは敵対的買収が一定の水準まで達した際に自動的に発動できるため、あらかじめ設定しておけば抑止力としても効果的である。

敵対的買収を実際に受けたのち、対抗策としてポイズンピルを行うことは現経営陣による保身行為として原則、認められない。認められるのは、グリーンメールや買収対象会社の資産売却などの短期投機目的である投資が明らかな場合に限られる。

ポイズンビルは株主を巻き込む、かなり強引な手段であり、もしも株主がポイズンピルの発動で不利益を被ると判断した場合には、株主が新株発行の差し止めを請求する可能性もある。

法務デューデリジェンス。買収対象企業及びその事業に関する様々な法的リスクがあるかどうか、M&A実行にあたり阻害要因がないかどうか、補完しなければならない法的問題点がないかどうかを調査することをいう。会社組織・株式、関係会社、許認可、契約、資産・負債、知的財産権、人事・労務、訴訟・紛争、環境など、対象となる範囲は幅広い。株主の履歴確認、契約書の閲覧、許認可・登記関係の確認などが主なもので、弁護士事務所等に依頼することが多い。

法務DDの中で、会社だけでなく代表者および役員、執行役員などとの反社会勢力との関係の有無の監査も重要となってきている。委託契約などで意図が不明なもの、額が多く定期的に支払われているものなどから、反社会的勢力との関係が判明したときは、躊躇なく、M&Aの検討を中止すべきである。

対象企業における資産負債の健全性を確認することが財務DD(デューデリジェンス)だが、財務DD(デューデリジェンス)で抽出した重要な資産、負債について法的な瑕疵の有無確認する役割を法務DD(デューデリジェンス)で担う。

特に偶発債務に関しては、法的解釈を伴うものも多いので、情報共有と担当の役割分担が必要になる。

敵対的買収を仕掛けられた企業にとっての白い騎士(ホワイトナイト)のイメージからこのように呼ばれる。敵対的買収防衛策のひとつで、敵対的買収を受けた際に買収対象となっている企業の株式をその意を受けて友好的に買いとってくれる第三者及び第三者企業のこと。

敵対的買収者が現れたあとに、
・買収者よりも高い価格でTOBをかける(カウンターTOB)こと
・友好的な相手に行う第三者割当増資や新株予約権の付与すること
以上の2つに大別される。

新株予約権をあらかじめ発行しておく必要のあるポイズンピルとは違い、ホワイトナイトはあらかじめ導入しておく必要はなく、買収をしかけられた後でも対応できることがメリットである。

ホワイトナイトの注意点

ホワイトナイトは友好的な企業さえあれば成功しやすい買収防衛策だが、実際ホワイトナイトを担ってくれる会社が都合よく見つかる可能性は決して高くはない。また、仮にホワイトナイトを担ってくれる会社が現れたとしても、相手会社の資金面の準備が不十分である可能性もある。また、ホワイトナイトを担う会社に対して、それなりの報酬や有利な条件を提示する必要性も考えられる。

また、ホワイトナイトを担ってくれる企業は、敵対的買収を仕掛けられた企業の株式を一定数保有することになる。つまり、経営に対し発言権を持つ株主となることに変わりない。

ホワイトナイトの事例

日本では下記のような事例がある。

・ニッポン放送買収の事例
2005年2月、ライブドアがフジテレビの筆頭株主であったニッポン放送の発行済み株式の35%をグループで取得し、同年3月には株式の過半数を取得フジテレビと業務提携を図ろうとした。
当時SBIホールディングスの北尾吉孝氏がフジテレビ側のホワイトナイトとして名乗りをあげ、ニッポン放送からフジテレビ株を借受け、フジテレビ側を救済した。

・明星食品買収の事例
2006年10月、当時明星食品の筆頭株主であった米投資ファンドのスティール・パートナーズは、明星食品に対する敵対的TOBを仕掛けた。その後、即席めん最大手の日清食品が明星食品の友好的TOBを発表、スティールの敵対的買収の阻止となる。

・ホワイトナイト失敗の事例
2017年、ITサービス会社のソレキアへ、機械メーカーのフリージア・マクロスの会長である佐々木ベジ氏が敵対的TOBを仕掛け、ソレキアの経営陣がこれに反発。長く取引のあった富士通へホワイトナイトを依頼した。そこで、富士通は友好的買収者としてソレキアのTOBに踏み切ったが、価格競争に敗れホワイトナイト断念となった。

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