ローカルM&Aマガジン

M&A仲介会社のしつこい営業電話にうんざり? 最も効果的な対処法とは!

投稿日:2025年4月8日

[著]:小川 潤也

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「社長! 御社を買いたい企業がいます!」
こんな営業電話にうんざりしていませんか? しかも、次から次へと違う業者から電話がかかってくる……。
M&A仲介会社の営業戦略を知れば、無駄な時間を費やすことなく、適切に対処できるようになります。

「御社を買いたい企業がある」— その真実とは?

「御社に興味を持っている企業があります」
「資本提携を希望する企業があります」
こうした言葉に、つい興味を持ってしまうかもしれません。
しかし、これは単なる営業トーク。
彼らの目的は、あなたとコンタクトを取り、M&A契約へと持ち込むことです。

M&A仲介会社の営業マンの多くは基本給がそれほど多くなく、賞与はその年の実績により反映される、インセンティブ制で働いています。成功報酬の5%〜20%、場合によっては30%近いインセンティブが付くこともあり、とにかく「売ってもいいなと思っている社長と面談し、案件を受託すること」が至上命令なのです。

プライドの高い社長ほど狙われる?

特に、自社に誇りを持っている社長ほど、「御社と提携したい企業がある」と言われると、気になってしまうもの。
しかし、着手金を支払ったからといって、必ずしも理想の買い手が見つかるとは限りません。
「うちと資本提携したい企業があると言ったじゃないか!」とクレームを入れたところで、「他社がより良い条件を提示した」と言われるだけ。

M&A仲介会社の営業マンの最終目的

営業マンの最も重要なミッションは、あなたの会社を「売らせる」こと。
M&Aは、総務担当や幹部社員では決められません。だからこそ、彼らは社長に直接アプローチしようと、あの手この手を使います。

「先日、社長にお伝えした件ですが……」 「提携を望む企業の件で、社長に改めてお話があります」
あたかも以前からの知り合いかのように装い、取り次がせようとするのです。

しつこい営業電話への最も効果的な断り方

「興味がない」と伝えるだけでは不十分。
優秀な営業マンほど、「断られてからが勝負」と考えています。

最も効果的なのは、
「今後一切連絡しないでください」
と、はっきり伝えること。

さらに、社内で以下のルールを徹底しましょう。
・M&A関連の電話は一切社長に取り次がない ・「社長は不在」と曖昧な断り方をしない ・「M&A関連の営業はお断りしています」と明確に伝える

DMについても、受け取り拒絶が可能です。
「受取拒絶」と書いたメモを貼り付け、ポストに投函すれば、差出人へ返送されます。

信頼できるM&A仲介会社の7つの特徴

とはいえ、M&Aが必要になることもあります。その際、信頼できる仲介会社を選ぶために、以下の7つのポイントをチェックしましょう。
1. 実績が豊富
まずは実績です。とりわけ特定の地域や業種に強い仲介会社はその分野でのノウハウが豊富です。

2. 手数料体系が明確
手数料や成功報酬の内訳が明確で、レーマン方式が一般的ですが、最低手数料を聞いて、すぐ答えてもらえることです。ホームページには最低手数料ありとの表記だけで、金額が記載されてない会社もありますので、確認が必要です。

3. 地域ネットワークが充実
中小企業のM&Aには地域性があります。地域の弁護士や税理士、金融機関などのネットワークがあるかどうかが大切です。

4. レスポンスが早い
M&A仲介会社によっては、売り手に寄り添う姿勢が乏しいケースがあります。たとえば、問い合わせた内容についてすぐに返事をくれないといったように。レスポンスの遅い会社は誠実さに欠けると考えられるため、避けたほうがいいでしょう。

5. 適切な評価と戦略提案をしてくれる
適切な売却価格や条件、戦略を提案してくれる会社を選びましょう。

6. 秘密保持を徹底している
クライアントの機密情報を徹底して保護する姿勢は不可欠です。

7. 口コミや評判が良い
鵜呑みにはできませんが、会社のホームページにある、成約したお客さまの声、ネットの口コミも参考にはなるでしょう。また、地域に金融機関、各都道府県にある、引継ぎ支援センターの方に評判を聞いてみるのもいいでしょう。さらに周りにM&Aで会社を売り買いした経営者がいれば、情報を収集するのもお勧めです。

まとめ

営業電話は、営業マンの必死の努力の結果かもしれません。しかし、あなたの貴重な時間を奪われるのは避けたいところ。
しっかりと断るべきときは断り、M&Aが必要な際には信頼できる仲介会社を見極めましょう。

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著者

小川 潤也

株式会社絆コーポレーション
代表取締役

1975年新潟県新潟市(旧巻町)生まれ。株式会社絆コーポレーション代表取締役社長。大学卒業後、株式会社富士銀行(現・みずほ銀行)入行。法人担当として融資、事業再生、M&Aなどの総合金融サービスを手がける。2004年、医療介護の人材サービスを手がける株式会社ケアスタッフの代表取締役に就任。また銀行勤務時代に培った新規取引先の開拓やM&Aでの経験を生かし、地方都市の後継者不在、事業承継ニーズに応えるべく、株式会社絆コーポレーションを設立。M&Aアドバイザリー事業、スペシャリストの人材紹介事業を展開。著書に『継がない子、残したい親のM&A戦略』(幻冬舎)がある。
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